2001年初版の上記の岩波新書は、建築構造や木造建築にも精通されている坂本功氏が書かれている。
伝統的な日本古来の建築物というと、京都・奈良の古寺を殆どの方が思い出すに違いない。
奈良・平安時代の古寺が、1000年以上の時空を超えて、たった今も存在していることに、素直に、”よく持っているものだ!”と、感動してしまうのだが。
筆者は
”フェノロサが(凍れる音楽)と絶賛したことになってる薬師寺の東塔も、明治初期の写真によると、つっかい棒だらけで、かろうじて崩れ落ちるのを免れている状態”と描写。
また一方で、”東大寺の大仏殿は江戸時代(1705年)再再建された3代目で、明治40年代に大修理され、構造の強化をしている。
大仏の頭上の屋根を支えているのは、イギリス製の鉄骨製のトラス・・・”
事実は、きれい事ではない。
・・・法隆寺を建てた大工は1300年持つ物を作ったのではなく、1300年持たせるに値する建築を作ったのだ。・・・
レガシーを存続するに、メンテ技術の重要性を考えるきっかけになったわけだが。
リアルな、評価だけに、面白かった。
1995年1月17日。午前5時半過ぎに、滅多に揺れない浜名湖西岸にいた私はびっくりして飛び起きた。
それが、阪神大震災だった。その日、木材工場に来る、関西方面からのトラックの運転手がラジオで聞いた被害を、伝えてくれた。
この本は、上記の坂本功氏が1997年に上梓した本。震災の被害と原因を工学的見地から分析、写真入りで、見やすい作りになっている。二階ベランダの本体建築との接合部という、私たちも重要視している部分も、考察されていて、随分参考にさせて頂いた。
多くの犠牲者の方もいらっしゃって、その後の人生も大きく変動された方もおられる大惨事。
分析して、工法・材料・メンテ技術を進歩させることが小さい供養になる気がする。
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