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とりあえず、きんぎょの みらい

これまで、一緒に暮らしてきた“いきもの”たちの話をいくつか書いているが、なんだか書きそびれていたヤツがいる。

きんぎょ である。

わが家に来て、もう7年になる。

子が保育園の年長クラスの時、最後の年だからとお友だちの家族とみんなで地域の夏祭りに出かけた。
祭りも終盤になり、仕事終わりの夫が合流した。

「屋台で食べるものを調達してくる。
 一緒に来るかぁ?」

子を誘う……。怪しいっ! 
なにか、子の気を惹くようなことを企んでいる顔だ!

「一緒に行ってもいいし、
 何をしてもいいけど、
 きんぎょを連れて帰るのはダメだよ。
 水槽もポンプもないんだから!」

わたしは念を押した。

なのに、当然のように水の入った袋を2つもぶら下げて戻ってきた……。

ニコニコときんぎょを眺める……

夫。


当然、自分ですくったのではない。
参加賞だ。

それでも、つぶらな瞳でこちらを見るきんぎょたち……。

仕方なく、次の朝1番でホームセンターに走った。

当初2匹いたきんぎょには、子が、“ハル”と“ナツ”という名をつけたのだが、2年目に1匹になってしまった。
そしてこの時、どちらが残ったのかよくわからなくなってしまい、仕方なく“きんぎょちゃん”と、改名することになった。

この時以来、子は「別れが嫌だから……」と新しいコをためらう。今日、飾っていた朝顔にも、気づいたらこんな感じだ(朝顔が1日で萎むことはもちろん知っているけれど、また元気になってほしいのだろう……)。折に触れ、出会って一緒に過ごす喜びはなくならないことを伝えているが、頭ではわかっても、なかなかむずかしい。経験値なのか……?


しばらく寂しそうなきんぎょちゃんだったが、その後は力強く過ごし、あれ以来、病気もせず今に至っている。


さて、そんなきんぎょちゃんが、最近、大きな変化に直面した。

7年間、ずっと変わらず同じエサを与えていたのだが、近所のホームセンターでいつものエサを買えなくなってしまったのだ。
仕方なく、いつもと違うエサを買ってみたのだが、普段ならすごい勢いで食いついていたきんぎょちゃんが、すぐにエサ食べてくれない?!
エサの形状は同じなのに……
きんぎょちゃんも、味の違いがわかるの??

気になって調べてみたところ、

魚にも味を感じるための味蕾(みらい)という器官があります。
魚の中には人間と違い、味蕾が口の中だけでなくヒゲや体表にもある種類がいて、そのような種類では口以外の場所でも味を感じることができます。

「魚に味覚はありますか。」
農林水産省HP こどもそうだん 

なんと! きんぎょにも味蕾(みらい)!!
7年も飼っていたのに知らなかった……。
安易に長年の味を変えて、すまん、きんぎょちゃん。

とはいえ、前のエサはもう手に入らない。
心配しながら3日ほど新しい味を与え続けてみたら……


パクパクパクっ!!

きんぎょが、たべた!

また、以前のようにがっついてきた。

よかった。
これで、まだまだ元気に一緒に過ごしてくれそうだ。

ん?

バクバクバクバク!!

パタパタっ! パタパタっ!

んん??

というか、以前以上にがっついている?!
水から飛び出してしまいそうな勢いだ。

さては、きんぎょちゃん……
この新しいエサが、前のものよりお高いエサであることに気づいたな!

恐るべし、きんぎょの味蕾!!!

とりあえず、食い意地の権化と化したきんぎょちゃん。
がっつき過ぎて飛び出してしまわないよう、ふたをしっかりしめなければ!!

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