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【となりにミュージアム】はにわを見に行ったはずが……もっと面白いモノが潜んでいた! な話

お米炊いて、お味噌汁作って、肉焼いて……しばらくしたらまた、お米炊いて、スープ作って、肉焼いて…………

中学生って……
なんでこんなにすぐ腹すかせるんだっ!?

子どもがお休みだと、ひたすらご飯ばかり作っている気がする……同じことを繰り返すのは飽きる。

「ねぇ、どこかでかけない?」

「……どこかって、どこ?」

ソッコー断られると思ったら、めずらしい。気が変わらないうちにプレゼンをする。

「上野ではにわ展! 挂甲の武人が揃うのは、
 またずっと先までないよ(たぶん)」

「月曜休み」

「じゃあ、警察博物館で指紋採取!」

「それも、月曜休みだよ……(やれやれ)」

そう、美術館・博物館は月曜休館が多い。子どもが振替休日の時に出かけられる月曜にも開いている場所はないだろうか……

と探していたら、希望にぴったりの場所を見つけた。
明治大学博物館だ。

常設展は《大学史展示室・考古部門・
刑事部門・商品(民芸品)部門》が楽しめる。
特別展《新収蔵・収蔵資料展2024》
2024年12月14日まで

入場料: 無料 
休館日: 日・祝・大学が定める休館日
最寄駅: JR中央・総武線、東京メトロ丸の内線「御茶ノ水」
※常設展、特別展(今回は)撮影可。

公式HP: 明治大学博物館

候補に挙げた“はにわ”が見られそうだ! 子にお昼のどんぶりを掻き込ませ、お腹をいっぱいにさせた上で出かけた。

マスコットが『虎に翼』の衣装を着ている!

キャンパスの地下1・2階が博物館になっている。エントランスで学生が思い思いに過ごす様子を見せながら(子どもが大学生活をイメージするのにもちょうどよい)、まずは特別展へ。

考古部門には新たに《女子埴輪頭部》が仲間入りしたという。

鼻が欠けているが、顎のラインが美人。
よく見ると首飾りを着けているオシャレさん。

なめらかな土肌に弥生を感じる。そして、土偶に比べると大きい。関東では武人のはにわが多数出土しているが、より大きくするために上半身と下半身でパーツを分けてつくり、合体させていたそうだ。

「はにわ、合体!」
これが後の戦隊ロボを生み出すきっかけに……
なったかどうかはわからない。

他に、馬型はにわの頭部、練習作と思われる無骨なはにわ(!)などもあり、少ないスペースながらも見応えがあった。

人物はにわたちがお祭り中!
これは、考古部門の常設展。レプリカが主だが、
《さまざまな人物はにわ》は目を引く。
黒曜石の矢尻の展示も圧巻!
明治大学には黒曜石研究センターもあるらしい。


はにわを中心に見にきたはずだし、ここまででも十分!


なのだが、はにわ以上に見入ってしまったものが……2つ!!も出てきてしまった。

まずは、刑事部門の展示。

新収蔵《江戸大絵図》
五代将軍綱吉の時代の絵図なので……
わんわん×2
生類憐みの令の犬の保護施設が記されている!
絵図のどこにあるのか探してみて!

「地図にも世相が残るんだね!」と、わくわく犬小屋を探そうとしたら、「いや、すぐここにあるから」と、あっさり見つけ出す子ども。
先に見つけやがって……ぐぬぬ。

江戸時代の捕物に関する収蔵品もかなり興味深い。

新収蔵スペースの十手や鎖鎌。
捕縄術の絵巻。
こういう歴史資料があることを知らなかった!

捕らえた人を御縄にするための術“捕縄術”があることを初めて知り、驚いた。日本発祥の武術で、犯人を拘束するため、自白を引き出すために縛る技だそうだ。

この、捕物に使う道具や捕者術の絵画、刑罰具の複製品、刑法の歴史がわかる古文書こそが明治大学博物館の見どころ。常設展示室には“喧嘩両成敗”の元となる分国法が書かれた《今川仮名目録》のレプリカ、刑罰に使われた拷問具の複製品(実際に使用されたものはすぐに焼いたり壊したりしたそうだ。そりゃ、誰かを苦しめたものを保存したくはないよね……。しかし、資料としては貴重なので、職人さんにお願いして複製品を作ってもらったとのこと)が展示されている。刑罰具は説明を読むだけでゾワゾワする。目を背けたくなる方法ではなく、更生の道を探れるといいなと改めて感じた。
(調べてみると捕縄術では縄抜け方法なども教えるのだそう。ちょっと救いがあって、ホッとした)。

常設展示室の十手。長くてかなり重そう。
十手を使いこなすための“十手術”もある。
(このことは、時代小説のおかげで知っていた)


もうひとつは、大学史展示室……の手前にちょこっと飾られた、《明治大学を発掘する》のコーナーだ。

3代目の明治大学記念館から現在のキャンパスに建て替える前、敷地内の“中坊(なかのぼう)氏屋敷跡”に当たる部分を発掘調査したそうなのだが、展示されている出土品がとにかく刺さりまくる!

景徳鎮などの中国陶磁器の優美なカケラ。備前や瀬戸の実用美に溢れた焼物。そして、愛着を感じさせる日常使いの小道具たち……
歴史的価値でみるとそれほどなのかもしれないけれど、センスの良さ……というか、好みが似ているのか。「はわわっ!!」となる品が多かった。

焼物。シンプルだけれどそれぞれに個性。
泥メンコに、ままごと道具。
玩具の出土品に心がはずむ!
キズで偶然だけれど、目からビーム!
愛らしい。

歴史的、美術的に価値あるものはもちろん素敵だけれど、大切に暮らしてきた様子がうかがえる出土品を見て、ほんわかした気持ちになった。

触れることができなかったが、商品(民芸品)部門の
一枚。これ、実家にあったな〜と懐かしくなる。
思いおこせば、実家には有田焼、九谷焼、萩焼、
益子焼などのうつわや湯呑があった。
いまの陶器の破片好きはこの影響なのか?


「ねぇ、そろそろ帰ろうよ……」

いつのまにか、結構な時間になっていた。
そして、時間が経てば、満腹にさせたはずの子どもの腹が減るわけで……

喫茶店でプリンの出費……!!

でも、子どもも興味深く見ていたし、美味しそうにプリンをたいらげていたし、なんだったら、わたしのコーヒーフロートのバニラアイスも強奪していたし…… 笑

久しぶりに、1人ではできない博物館の楽しみ方ができてよかった。

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