(とりあえず、朝はまたやってくる)
谷川俊太郎さんがなくなった。
おもしろい言葉を紡ぐ人がいなくなってしまうのは、本当につまらない。本当に。
わたしが通っていた小学校は音読に力をいれていて、数えきれないくらいたくさんの詩を暗唱したけれど、大人になってからも声に出して暗唱できるのは、谷川俊太郎の『かっぱ』だけ。
“かっぱらう”っていうちょっと悪い言葉が楽しくて、しかも二連めでは、カッパが菜っぱを買って切って食ってて。
笑っちゃうから、まだ小学校で習っていないうちに、子どもにも暗唱して聞かせてやっていたほどなのに……
(子どもは、まどみちおの『イナゴ』の方が好きみたいだけれど)
まだまだおもしろい言葉を生み出してくれると勝手に思っていただけに……
つまらない。
訃報を聞いて、すぐに頭に浮かんできたのは『朝のリレー』だった。
谷川俊太郎がもういないのはつまらないけれど……
また寝たら、朝のリレーが続く。
そしたらまた目の前のことに必死になって、つまらなさもまぎれて、また次の朝をリレーして、時々、谷川俊太郎の詩を思い出して……
とりあえず、また折に触れて谷川俊太郎の詩を読んで聞かせ、あのおもしろい詩を、言葉を、リレーしてやろう。