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【それが好きだと叫びたい】好きなものを他の誰かの視点で見てみる
もう何度目だろう。KITTE内の博物館【インターメディアテク】に出かけた。
子どもが同じ場所にばかり遊びに行きたがると嘆いたことがあったが「お前こそ、何回IMTに行ってるんだよっ!」という話だ。血は争えない。
IMTの美しい標本たちに会いに行くと、静かな気持ちになるのと同時に不思議な高揚感を味わえるので、思い立つと足を運んでしまう。
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を眺める。ミイラのそばで
しばらくボーッとするのがお決まり。
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オオオニバスが曼荼羅みたい。
今回も、ほかの予定のついでにふらりと立ち寄ったのだが、あれ? 特別展を開催していた。
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写真家 立木義浩 × 東京大学
60年に渡り第一線で活躍してきた写真家・立木義浩。この特別展では、博物館の“学術標本”をファインダーを通して切り取ることで、単なる研究対象を超えた“芸術”として見つめ直す機会を提供するのだという。
……などと知った風に概要を書いたが、見に行った時点ではまったく予備知識がなかった。
どんな写真を撮り、どのくらい有名な人なのか何も知らなかったけれど、すごーく単純に、
自分が大好きなインターメディアテクを、他の人はどんなふうに見ているのか?
自分とは違う視点でIMTを見るって面白そうっ!
という軽いノリで見はじめた。
まず、自分視点だと「かわいい!」と写真を撮りまくりたくなる哺乳類の剥製たち。
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ケース上段のモフはガウガウしていらっしゃる。
リアルなのに、“やっぱり本物じゃない”という虚無った瞳が……また、愛着というか、守ってやりたい気持ちを抱かせるのだが、立木氏視点だと、
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剥製に命が吹き込まれたみたい。
(こちらは立木氏撮影の作品)
生き生きとして、生き物としての躍動的な美しさが甦っている! 自分の視点だけでは見られなかった一面だ。
また、ミンククジラの骨格標本の上に展示されている、オットセイの骨格標本。
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自分視点だと、水族館の、ペンギンが飛ぶ透明のトンネル風に真下から見上げるようにとらえてしまうが、
立木氏の作品では周りの照明は暗めにして、オットセイを横からとらえている。水中を泳いでいるみたいだ。
浮かび上がる白い骨の周りに、筋肉や皮膚が見えてくる。生きて泳いでいた時の情景が見えるようだ。
それから、2階展示室にある秋篠寺乾漆仏復元作品。
作品紹介カードに虹が横切るのを、いつもこっそり楽しんでいたのだが、
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肉眼だともう少し虹色。
立木氏の写真では、仏のボディーに見事に虹が降りていた! すごい。
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これは、わたしが撮っているので、
虹の降臨はナシ。
やはり、自分視点だけでは見られない一面。面白い!!
特別展の写真を満喫して、3階にあがる。
他にも見たい展示物がたくさんあるのだが、特に大好きなものの1つがコレである。
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このウシの写真も図録に収録されている。
立木氏は歴史の重みを感じさせる写真を撮っていたが、やっぱり、一般的には重厚で貴重な物として捉えるものなのだろうか……
遺物にかわいいは、ズレているのかな……
そんな風に見つめていたら、あとから来たデート中と思われる女の子と男の子が、
「なにこれ! かわいい」
うれしそうに写真を撮っていた。
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やったー!!
「かわいい」という意見にも票が入った!
同じ感想を持つ人の声が聞けてうれしい!
プロの視点だけでなく、同じ観覧者の視点を知るのも、またうれしいことだなと、ほくほくする。
そして、ほくほくしながら……
わきで見ている見知らぬ女の子に、
「このウシには、もっとかわいいアングルがあるんですよ」
とお伝えしたくなり……
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……伝えたくなったが、
さすがに、いきなり
「このコ、おしりがかわいいんですよー」
などと言えるわけもなく……
静かにそばから離れるのであった。
そんなわけで、他の人の視点を知れたことで、いつものインターメディアテクがさらにさらに楽しめた(そして、図録を購入してしまう……。ごりごり働いて収入を得ねば……)。
ウキウキ周りを見渡すと
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うわー、25年1月4日からまた違う視点で楽しめるのかぁー。インターメディアテクの面白さ、エンドレス!!
年明け、また行っちゃうんだろうな……