とりあえず、ハニワのポテンシャルは♾️
はぁ〜
はにゃぁ〜
つい、はに丸くんみたいなため息が出てしまうほど面白かった!
ハニワと土偶の近代展@東京国立近代美術館。
この美術展、ハニワと土偶の実物(出土品)はほぼ不在!!
しかし、ハニワや土偶の表情・フォルムはたくさんの芸術家たちの創作心をくすぐり、新たな作品を生み出す。
朴訥とした姿だからこそ、様々な時代の、様々な人々の思いが、ぽっかりと空いた穴から流れ込み、無限にイメージを変える。
出土品はないけれど、実物と同じくらい刺激的なハニワと土偶をモチーフにしたアートの面白さを、ちょっとだけでもお裾分けしていきたい。
◆序章 好古と考古ー愛好か、学問か
そもそもハニワや土偶というと、美術館ではなく博物館の領域なのでは? という声が聞こえてきそうだ。
佐藤や五姓田のスケッチは考古学的な写生と言える。だけれど……描き込むうちに“好古”の要素が顔を出してきているようにも見える。線や絵がやわらかい。
そして、好古の祖とも言える蓑虫山人(みのむしさんじん)の「埴輪群像図」。
博物館を開こうと蒐集していたそうだが、こちらはあきらかに学問寄りではなく“好き”であふれかえっている。
また、縄文土器の紋様を模写するうちにその美しさに魅力され、平面デザインにおこし、誌面を飾った人も。
学問として見つめ続けるには“好き”な気持ちが欠かせない。考古と好古は切り離せない。だからこそ、スケッチでさえこんなに芸術的なのだろう。
◆1章 「日本」を掘りおこすー神話と戦争
蓑虫山人が好きすぎて(何を隠そう、ハニワや土偶が好きになったきっかけが蓑虫山人なのだ)入り口付近からまったく進んでいない。まだまだ見ていられるけれど、いい加減、先に進まねば。
近代初頭の展示スペース。
近代国家を作る中で、ハニワは歴史の象徴となった。そのため、古代の生活を知るための資料、日本神話のイメージづくりを助ける特別なものとして扱われている。
神話味をおびた作品の中で、柔和で清らかな雰囲気に包まれたハニワたち。
しかし、日清、日露、昭和の大戦へと時代が突入していくと、ハニワモチーフには戦意高揚の役割が課せられる。
武人ハニワが日本兵を支える「天兵神助」は背景の突撃する武人ハニワのデザインも含め、これまでとは違う勇ましさが全面に出ている。
ハニワの目は変わらず穴として表現されているのに、敵を討とうと眼を光らせているように見える……
また『小國民選書 埴輪の話』の中では、ハニワの顔は日本人の理想で「涙をこぼさない」凛々しさの象徴とされている。
一方で、戦争に賛同しかねていた画家たちにとってはハニワの無表情さが救いとなり、モダンアートへと昇華させる。
とくに、水色の空にテラコッタのハニワの顔が浮遊する矢橋六郎の「発掘」には、行き場のない美しさを感じた。
この章のスペースのラストには、桑原喜八郎の「埴輪の部屋」が展示されている。戦地で帰らぬ人となった作者の絵には、明るいハニワの展示室とモダンな女性が描かれている。自身が戦った先には、穏やかな未来があると信じていたのだろうか。
◆2章 「伝統」を掘りおこすー「縄文」か「弥生」か
重たいモヤを払うような、明快な詩。さすが、谷川俊太郎。
そして、現代に近づくほど、ハニワや土偶は自由自在なモチーフとして広がって行く。“日本”らしさを穏やかに取り戻してくれるもの、“伝統や社会”を超えるためのプリミティブなもの、アスファルトに囲まれ便利になって行く中での“土”の芸術……いろいろな思いが、個性的で楽しい作品に姿を変える。
頭の上に口笛を吹きそうなアニマルを乗せるもの、
デザイン的に見せてオシャレに楽しむも良し!
ハニワ&土偶オブジェを作り、集めて並べ、蓑虫山人を喜ばせてもいいし、
(一部、写真NGのため、全体像は撮れない。わたしの推しは、撮影NGの中の「土偶 野武士」。“腹巻きドーモくん”と名づけ、楽しんだ)
油彩画で、正統派ハニワとして楽しむのも、
ロボットチックなハニワを、鉄板愛されアニマル猫まみれにするも良し、
(なんだか、近未来感)
抽象的に描いても想像を掻き立てられる!
都会的でクールな感じも素敵。
ハニワも土偶も、素朴だからこそ、モチーフとしてのポテンシャルは無限なのだ。
◆3章 ほりだしにもどるーとなりの遺物
最後の展示スペースでは、漫画、特撮など、より多くの人々に知られ、親しまれキャラクターなどを展示。
本展のPRを担い、大活躍のはに丸くん、大魔神(怖っ!な、首の展示あり)など、映像も含め展示されている。
ほかに、タイガー立石の「富士のDNA」、衣真一郎「古墳のある風景」なども、個性とインパクトにあふれていて、本当に最後まで気を抜く暇がない、濃い美術展だった。
とりあえず、面白かった分、エネルギーも使ってしまい、クタクタになった……
かわいいミニチュア埴輪たちに癒されながら、休もう……
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