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【それが好きだと叫びたい】寿老人をモシャモシャ模写

【それが好きだと叫びたい】
好きなものがたくさんある。あっちこっち好きなものがありすぎて、熱意を1つだけに注ぎ込めない。はたから見ると“推し”と呼べるほど熱狂的でないかもしれないが、「好きだ」と叫びたいものについて綴る。

大人なのに、ついつい落書きをしてしまう。仕事の会議中、保護者会、イベントetc……資料の端にコチャコチャ、コチャコチャかいてしまう。
決して、集中していないわけではない。
むしろ面白い話だったり、その場にいる人・モノに興味がある時ほどかきたい! かきのこしたくなるのだ。(興味がないと……そもそもくろーず……。おめめもくろーず……)

いけないっ!
会議中にスリープモードがかかりがちという話ではない。

とにかく、「面白いこと言うなー!」という人の似顔絵を描いて、吹き出しにその発言を書き込んだり、「これ好き!」と思っても写真NGの時に、見たものを雑に描いたりしている。結果、よごされた資料やメモ帳がコチャコチャ……。そして、しばらくすると「なんじゃこら?」となり、最終的には「よくわかんないけど……楽しかった思い出は消えないから……」などとつぶやきながら、モシャモシャと紙を丸めることとなる。


そんな落書きを、最近また増やしてしまった。

年末まで開催されている【古陶磁にあらわれる「人間模様」展】。
陶磁器は絵柄が描き込まれたものより、シンプルなものの方が好みなのだが、年末で人恋しい気持ちがわいたのか? なんだが顔が描かれたものに会いたくなって出かけてみた。

展示室には神仙や美人、山水画など、高貴なものが溢れているのだが、あちらこちらに愛嬌がある作品が顔をのぞかせる。「陶器の上の人物がこんなにかわいらしいとは知らなかったー!」と、メモ帳に、そのよろこびを描きなぐってしまったのだ。

①染付 唐草文 人物鈕中次 伊万里 
②色絵 寿老人文 鉢 伊万里
③染付 吹墨鷺文 稜花皿 伊万里
④五彩 鶴鹿文 壺 景徳鎮窯
※メモ帳のママだとあまりになので、
切り抜いてまとめた。

「伊万里や景徳鎮がこんなにゆるいわけないだろっ」
という声が聞こえてきそうだが、
①の茶器「中次(なかつぎ)」のふたの鈕(つまみ)は、毒気を抜いたねずみ男みたいなゆるり感だし、②の寿老人も神仙というより、お茶を飲むおじいさん的な顔なのだ。
そして、③の生き物は理科の時間に描いたミジンコではない。これは鷺だ。本当だ! 説明文にも“ふくよか”な鷺とあった。詐欺じゃなく、鷺なのだ。④の景徳鎮はふた付きの味わい深い形の壺なのだが、どうも鶴と鹿がじゃれる小学生に見えてしまい……「ついてくんなよ〜」とメモしている。
超短時間で模写してはいるが、ふざけてはいない。本当に愛嬌たっぷりなんだよー! 29日までの会期なので、できれば、嘘でないことを確認しに出かけてほしい。

出展品リストに文字で書いた落書きも見ると、青磁 三つ人形 蓋置(茶道具。釜のふたを置く三脚)の淡い浅葱色やなめらかな人形が手を繋ぐ姿に和んだり、三川内(みかわち)焼きの染付 唐子文 香炉のふたの透かし彫りの菊に見入ったりしている。

「人間模様」という点では江戸時代の伊万里焼づくりに関わる職人たちを紹介するパネルも興味深かった。細かく分業され、たくさんの人が関わっても芸術的な作品を、クオリティを維持して複数作ることができるのは、本当にすごいことだと思う。

1階で同時開催されている「平戸松山窯(ひらどしょうざんがま)唐子絵三代展」も、伝統とモダンさをあわせた愛らしい唐子を楽しめた。

15・16・17代の三代の作品を展示。
作者によって唐子の雰囲気がちがう。
上の写真とサムネの写真はともに17代の作。
キャラクターみがあってめんこい。
そして、リトル!


ああ、人物が描かれた陶磁器、好きだー!

心の中で叫びながら展示室マップを確認して気づく……

「あれ? あんなに急いで第一展示室で
 模写した寿老人文の鉢……

 “本展示ケース”のところで

 カメラOK

 になってるじゃないか!!」

鉢のふちを彩る唐草は豪華だが
寿老人はほのぼの。

……。

いや、いいのだ。だって模写している間はとても楽しかったもの! この楽しさは決して無駄ではないのだ。
そう、たとえこの後、モシャモシャっとなる運命でも、楽しさは消えないからさー!

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