とりあえず、手のひらリマインダー
子が落とし物をした。
わたしが感知しないタイプの、大事な落とし物である。
鉄道会社などに問い合わせをしていたのだが、移動しているときに連絡があり、急遽メモをとる必要が出てきた。
ペンはあるが、メモ帳はない。
仕方あるまい……
耳と肩にケータイを挟み、
左手の手のひらにペンでぐりぐりと必要事項を書き込む。
この、ハンドリマインダーシステム(手のひらメモ)をしている人は、今、どのくらい存在しているのだろうか?
何年か前、やはり急にメモを取らなければいけないことがあり、手の甲、左親指の下あたりにぐりぐりと書き込んだ。
その数時間後、仕事が終わり帰りの電車に乗ったのだか、電車が揺れて、そばの手すりにつかまった瞬間……
「ぷっ、ははははははっ!
この令和の時代に、手にメモするって!!」
隣に立っていた見知らぬ男性(50後半くらい)に大爆笑された。
思わず笑ってしまったという感じだ。悪気はない。
突然のことに驚きはしたが、通話状態のままだって、アプリを開いてメモをとることはできる。
見知らぬゲラゲラさんのおっしゃることはごもっとも。
「急だったもので……」
とりあえず、ヘラヘラ言い訳をして、その場を離れたのだった。
このことがあってから、なるべく、手にメモしないように(特にすぐ見えてしまう手の甲には書かないように)気をつけているのだが……
やっぱりときどき、すごく急ぎだったり、自分に言い聞かせるみたいに覚えておきたいことがあると、つい、ぐりぐり書き込んでしまうのだ。
書き込むといえば……
骨折などをした時のギプスに、応援(?)メッセージ的な落書きをされている人もあまり見なくなった気がする。
学生時代など、「なんか描いて〜」と言われて意味のないイラストを書き込んだり、書き込まれている人を見て和んだりした記憶がある。
あれも決してスマートではないけれど、個人的には愛され感があっていいような気がするのだが……。
うーん。
まぁ何にしても、手のひらメモがいいとは言い難い。
とりあえず、できるだけ、書かずにいられるように