ショートフードエッセイ『枝豆とチキン』
今年の夏は暑かった。
日本中、どこもかしこも酷暑であった。
そして、9月も半ばになってもまだ暑い。
そうなると、やっぱり食欲は落ちますね。
お腹は空くし、食べられないわけではないけれど、『何を食べたいか』がわからなくなる。
特にご飯(白米)を食べたい欲が落ちるのだ。
思えば、子供の頃からその傾向があった。
中学生の夏休み、部活中のお弁当のご飯が食べられず、母にお願いし『枝豆&フライドチキン』弁当にしてもらっていた。
小さな2段のお弁当箱の上段に市販の手羽中のフライドチキンを、下段に枝豆をぎゅうぎゅうに詰めて持っていっていた。
今ほど酷暑ではなかったはずだが、それでも炎天下で走り回った身体は塩分を欲していたのだ、と今しみじみ思う。
そして、そう思いながら同じメニューで甘い甘いお酒を飲んでいる。クーラーの効いた部屋で外を走り回ったわけでもないのに…そりゃ、全部お腹につくのである。