はらぺこおさる

食べるということがただただ好き。 なので、食にまつわるいろいろを少しずつ書いていきたいと思っています。 日記も続いた試しはないけど、ぽつぽつ続けられたらいいな。

はらぺこおさる

食べるということがただただ好き。 なので、食にまつわるいろいろを少しずつ書いていきたいと思っています。 日記も続いた試しはないけど、ぽつぽつ続けられたらいいな。

最近の記事

ショートフードエッセイ『秋の月とジャガイモ』

ぬぁぁぁ〜…とうめき声を口からこぼしながら、湯船に浸かる。 つっと顔を上げると浴室の小さな窓に月が見えた。 正確には、窓は曇りガラスなので、窓枠とお隣の軒の隙間にぼやぼやっとした光が見えただけだが。 あぁ、だいぶ秋が深まってきたなと思う。 月の軌道の関係か、私の入浴の時間の関係なのか、夏はあまり見えない。 なので、秋冬、湯船からそのぼやぼやとした光を見るのが、好きだ。 冬に近づくにつれてその光は青く白く硬くなる。 今はまだ黄色よりの柔らかな光。 ジャガイモみたい……そう

    • ショートフードエッセイ『明日また頑張るためのおにぎり』

      ここのところ、やたらと疲れている。 何をしているわけでもないのだが、日々ぐったりなのだ。 仕事が忙しいわけでもない。むしろ時短のパートに転職して、時間的には全然楽なはず。 しかも、家事を完璧にこなしているわけでもない。 『無理しない程度に』を目標に抜ける手は抜いている。 なのに、なんでこんなに疲れるの⁉︎ 歳だから?(充分あり得る) 太ったから?(これは確実にそうなんだけど) そんな時は食事を作るのも一苦労。 という事で、今日の晩御飯はおにぎりです。 巷ではおにぎりは

      • ショートフードエッセイ『ナルトとほうれん草は、もう』

        ラーメンって、無性に食べたくなる時がある。 いろいろなタイプがあるので、人それぞれ好みがあると思うが、私はやっぱり昔ながらの醤油ラーメン。 あっさりスープに細麺派。 先日、主人が20代を過ごした街を散策しに行った。 お昼過ぎに着いたので、駅前なら何かしらあるでしょ、と早速お店を探す事に。 主人も久しぶりの街なので、お散歩気分で2人できょろきょろ。と、路地にちょこんと食堂発見。 いいかも、いいかも、この感じ。 お世辞にもキレイとは言えないし、1人だと勇気がいるけど、2人な

        • ショートフードエッセイ『紅茶に解けて』

          子供の頃、朝は紅茶だった。 紅茶とトースト。これ定番。 紅茶とスイスロール。これは特別。 たまに買ってもらっていた名糖の粉末アップルティー(缶入り)は格別。 甘い甘い紅茶を飲みながら、ハムチーズトーストに齧り付く。美味しくて、朝から元気になった。 実家にいた時の夜は、父のウイスキーや、余って忘れられていた製菓用のブランデーの瓶を引っ張り出して、紅茶にちょろっと入れて香りを楽しんだりしていた。 実家を出てからは、ウイスキーもブランデーも買うことはなかったので、朝も夜もアール

          ショートフードエッセイ『美味しい、は本の中②』

          俳優・片桐はいりさんの『わたしのマトカ』というエッセイがある。 映画『かもめ食堂』の撮影のために訪れたフィンランドでの出来事が、個性的かつ魅力的な文章で書かれていて、とても面白い。 随所にフィンランドの食べ物が出てくるのも 食いしん坊としては嬉しいところ。 映画にも出てきたシナモンロールはもちろん ミートボールや真っ黒いソーセージにサルミアッキ…美味しそうな物も味が想像できない物もいろいろ。 中でも、印象に残ったのは、市場で買った生のグリーンピースを鞘から出してそのまま

          ショートフードエッセイ『美味しい、は本の中②』

          ショートフードエッセイ『鍋の中にゆっくりと』

          一昨日は夏のような暑さで、半袖で一日中過ごしたと言うのに、昨日は急に秋が深まったようだった。 休みの日にしては早めに目が覚めて、主人と2人で寒い寒いと半袖パジャマで笑いあった。 こんな日は、少し前から『寒くなったら食べたいね』と話に出ていた、おでん日和である。 おでんを作る時はいつもよりちょっとだけいい出汁パックを使う。 口の中にじゅわっと広がるお出汁を存分に楽しむためだ。 好きな種は大根と昆布。主人は厚揚げと卵。 主人と一緒になって初めて、おでんの厚揚げも美味しいと知

          ショートフードエッセイ『鍋の中にゆっくりと』

          ショートフードエッセイ『美味しい、は本の中①』

          子供の頃から本を読むのが大好きだ。 つい夢中になって読んで、物語の中にすっぽりハマってしまう時も多い。 中でも私の興味をそそるのは、やっぱり食べ物とそれにまつわる場面だ。 畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズ。 江戸が舞台のファンタジーだが、お菓子が沢山出てくる。かりんとうや金平糖、お饅頭にお団子、有平糖…中でもお気に入りは、主人公の若旦那が火鉢で炙る大福。 もともと美味しい大福を火鉢で炙って食べるなんて!絶対美味しいだろうなぁ。 火鉢なんて使った事もないくせに、炭の爆ぜる

          ショートフードエッセイ『美味しい、は本の中①』

          ショートフードエッセイ『ほくほくと優しく』

          焼き芋の季節が来る。嬉しい。 石焼き芋屋さんをあまり見かけなくなった。昔はこの時期になると『い〜しや〜きいも〜〜』とのんびりと売りに来ていた。 今は焼き芋専門店なるものがあるらしい。立派なスイーツの仲間入りか。 確かに、最近主流のねっとりと甘みの強い焼き芋はスイーツのようだ。 私はほくほく派である。 焼き芋を両手で半分に割った時の、ぽくっと甘い湯気が上がる、あの感じ。 大きく一口かじると、口中の水分を全部持っていかれるような、あのほくほく。 慌てて飲み込むと、食道でゴロゴ

          ショートフードエッセイ『ほくほくと優しく』

          ショートフードエッセイ『超えられない味』

          超えられない美味しかった物達が沢山ある。 それはもう、自分の中で思い出補正がかけられて、実際の味よりずっとずっと美味しくインプットされている。 例えば、子供の頃夏休みに行った家族旅行の帰り。高速道路のサービスエリア、車のトランクに腰かけて食べたいちごのかき氷。 熱が出ると母が食べさせてくれた、すりおろしりんご。 おたふくカゼで寝込んだ時に、祖母が作ってくれたキャベツ入りのお粥。 友達のお母さん(農家)が持って来てくれた、もぎたての不揃いトマト。 旅先で高熱を出した父の運転で

          ショートフードエッセイ『超えられない味』

          ショートフードエッセイ『これだけ。の鍋』

          涼しくなってきたので、そろそろお鍋の出番。 やっぱり、湯気の上がるお鍋をはふはふつつき合うのは、涼しくなってから。 今はいろんな鍋つゆが出ているのでありがたいが、そんな美味しい市販の鍋つゆを差し置いて、我が家の一位は常夜鍋。 土鍋にお水をたっぷり、日本酒をダバダバっ。生姜と皮を剥いたにんにく一欠片をポン。 沸騰させてアルコールが飛んだところで、まずは豚肉をしゃぶしゃぶ。 豚肉を何枚かいただいて、スープに豚の出汁が出たところにほうれん草をモリモリに投入。我が家では1人1束

          ショートフードエッセイ『これだけ。の鍋』

          ショートフードエッセイ『私の味覚』

          味覚は個性だ、と思う。 なんて言って、自身の味覚を肯定的に捉えている。 一般的な美味しい、と、私の好みには若干のズレがあるようだ。 牛肉はサシの入ったトロけるようなものより、繊維が感じられる赤身肉が好きだし。 マグロもそう、トロ、中トロには目もくれず、赤身一択。 鶏肉はモモより断然ムネ肉派なので、唐揚げなんかもムネ肉で作っていたら、友達に驚かれた。唐揚げはモモでしょ〜!だそう。 そうなの?と何度かモモで作ってみたけれど、やっぱりムネのほうが、私には好みだった。 もっと、

          ショートフードエッセイ『私の味覚』

          ショートフードエッセイ『突然の秋』

          つい先週まで、暑くて食欲が…とか言ってたくせに、1〜2日、ちょっと涼しかったら、あッという間に食欲復活。 暑い内は全然食べたいと思わなかった物が、急に魅力的に見える。 グラタンとかおでんとかシチューとか。 食材で言えば、芋、栗、南瓜、そして、きのこ。 そもそもあまり凝った料理はしないが、シンプルで簡単に食べるのが1番美味しいと思う。 椎茸は軸を外し、傘を逆さましてチーズを乗せ、オーブントースターで焼く。 焼けたら、お醤油をちょろっと、お好みで七味をぱらり。 かぷりと噛めば椎茸

          ショートフードエッセイ『突然の秋』

          ショートフードエッセイ『茗荷と大葉』

          前回、夏はご飯(白米)が食べられなくなると書いた。そうなると、当然、主食の麺率がぐぐっと上がる。夏場は特に素麺率が高くなる。茹で時間が短いのも魅力。 素麺の薬味と言ったら、茗荷と大葉。 『茗荷』大人な食べ物だ。独特の香りとかすかな苦味。いつの間にか、この味が大好きになっていた。美味しいなと思う度、大人になったなぁと実感。もう立派な中年なのに。 以前、主人が作ってくれたレシピ。 鶏肉を一口大の削ぎ切りにし、塩胡椒で下味をつけ薄く片栗粉を付ける。 オリーブオイルでこんがりと焼く

          ショートフードエッセイ『茗荷と大葉』

          ショートフードエッセイ『枝豆とチキン』

          今年の夏は暑かった。 日本中、どこもかしこも酷暑であった。 そして、9月も半ばになってもまだ暑い。 そうなると、やっぱり食欲は落ちますね。 お腹は空くし、食べられないわけではないけれど、『何を食べたいか』がわからなくなる。 特にご飯(白米)を食べたい欲が落ちるのだ。 思えば、子供の頃からその傾向があった。 中学生の夏休み、部活中のお弁当のご飯が食べられず、母にお願いし『枝豆&フライドチキン』弁当にしてもらっていた。 小さな2段のお弁当箱の上段に市販の手羽中のフライドチキンを

          ショートフードエッセイ『枝豆とチキン』