男山(旭川)の『酒蔵開放』体験記
男山(旭川)の『酒蔵開放』に行ってきた
旭川の酒造メーカー・男山株式会社が年に一度、例年2月に開催する感謝祭的イベントが『酒蔵開放』。コロナ禍の影響で3年ぶりのフル開催となった2024年2月11日の日曜日、札幌⇔旭川の日帰りで参加してきました。来年以降のご参考までに、以下リポートします。
イベントの正式名称は『男山 第46回酒蔵開放』。開催時間は午前10時~午後3時、会場は男山の本社・工場(旭川市永山2条7丁目1‐33)の敷地内で行われました。
さてそもそも何で参加したかというと、取材の仕事……ではまったくなくて、完全にプライベート。勝手に行ってみただけでして、お得意先の編集部各位におかれましては「オマエ(原稿も書かずに)何してんだよ」感はおありでしょうが、「真冬の真っただなかの旭川に、国内外から熱心なファンが駆けつけるというクレージー酒イベントらしいよ」という噂を聞きつけたからには行かねばならぬ、と強く心に決めて、もちろん自費で馳せ参じました。100%興味本位、完全初見です。
ふだんは札幌に住んでいるので、仕事で旭川に向かう際はカメラマンさんの車に同乗させてもらうか、自分の車で行くのがセオリー(現地で自在に動けるので)。ですが今回は初手から飲む気満々なので、JRとバスを駆使した旅路となりました。(以下、旅行記風にアクセスの話が続きますので、興味のない方は到着シーンからはじまる見出し2までスキップを)
朝10時のスタート時間から逆算しつつモロモロ検討の結果、JR札幌駅を7時半発~8時58分着の宗谷2号に乗車することに。当日の札幌はこんな状況。
時間が早いのは気にならないタイプなので問題ありませんが、なにしろ冬の野外イベントなので、めったに着用しない極暖ヒートテック上下と貼るタイプのホッカイロで、本気の完全防寒を固めました。
張り切り過ぎてしまっているので、駅ホームの立喰いそば屋で月見そば。
高速道路は暴風雪で通行止めになることもママあるので、この時期はJRが正解ですね。
乗車中の空き時間を利用して、試みに新たなSNSのBlueskyの新規アカウントを開設してみたり、アンソニー・ホロヴィッツを読んだりしているうちに、JR旭川駅に到着。片道1時間半、首都圏なら通勤圏内かもしれませぬ。
そしてここから男山まで、どう行くか。いろいろ検索しつつ「いっそタクシーか?」とも考えたものの、まあせっかくの企画なので、公共バスを利用することに。JR旭川駅の北口を出て買物公園方面に5分ほど歩くと、バス停がいくつか並んでいる、道道98号に出ます。ジュンク堂が入っているビルに沿って「1条8丁目」のバス停があるんですが、何本か並んでいて、よくわからず。その中に人が並んでいるバス停が1カ所だけあり、何となくのカンでその後列につけて、何となくそのまま道北バスに乗車。席には座れたものの、その後はかなりの乗車率に。約25分で最寄りの「永山2条6丁目」に到着しました。
バス停には、中年夫婦や単騎のおじさん&おじいさんが並んでいて、静かに淡々と粛々とタダ酒への決意を漂わせているので、気配できっとわかるはず。いや自分も同輩なんだけども。
バスを降りて少し歩くと男山に着くわけですが、雪道の歩道なので、慣れていない方はご注意を。事前に道民から冬道の歩き方の講習を受けてくださいね。
2月の寒空の下、みんなめっちゃ飲んでた
人の流れに乗って進むと、両手に段ボールを抱えた人たちとちょくちょくすれ違います。あーこれってあれだ、サイトに書いてあった「先着500個の【福袋】(税込2,500円)」を買った人だ。先着500人はムリだろうなと思ってたんで、購入を諦めてはいましたが、やはり前倒しでスタートしている模様。
と、そうこうするうちに、目的地にようやく到着。3階建ての工場にかかった「酒蔵開放」の垂れ幕が青空に映えております。
後の集計によると、この日の来場者数は約9000人。確かに10時の到着時点で、長い行列が何本かできていて、一升瓶のケースをひっくり返した簡易イス&テーブルがすでにびっしり満席。皆さん、午前中からじゃんじゃん呑みはじめているようでした。おいおい、最高の酒フェスだなコレ!
気温はマイナス6度。風のない快晴で意外に過ごしやすかったです、と言っても、さあて本州の方に信じてもらえるかどうか。過去には天気が大荒れの年もあったとか
会場ではMCを務める芸人さんが来場者にインタビューしつつ場内の様子をリポートしています。それによると、コンロを持参して湯豆腐を仕立てている人、刺し身をそろえて日本酒を迎え撃とうとしている人をはじめ、道民のライフラインことセイコーマートで買ったであろうお惣菜をズラッとテーブルに並べていたりして、もう完全に午前中からやる気です。
老若男女の家族や謎のグループ(会社?)で、テーブルをおのおのキープし、宴会が始まっているんですね、10時時点で。えーこんな感じなんだーと、規模感に驚き。何でも朝5時ぐらいから並んで場所取りしていたという噂も小耳に挟みましたが、運動会だろ、それはもう。男山運動会だ。
ここで場内の構成を軽く解説しておきますと、
ステージ
無料試飲コーナー
飲食屋台コーナー(ラーメンなど)
物販(酒粕など)コーナー
物販(酒)コーナー
甘酒ふるまいコーナー
と、かような陣容。人々は無料試飲コーナーと座席を往復しながら飲んでいるようでした。なるほどね。
ではではさっそく私も、ということで、無料試飲コーナーに凸。「今朝ノ酒」は長めの行列ができていましたが(1時間後には解消されていました)、ほかのブースは比較的高回転の様子だったので、種類を変えつつ自主的に駆けつけ3杯。順番に呑んでいきます。
各ブースを切り盛りしているのは揃いの法被に身を包んだ男山のスタッフのみなさん。試飲コーナーでは、小さめの紙コップに景気よく次々と注いでいきます。我々の注意点としては必ず水(チェイサー)を持参することでしょうか。
飲み干したらすぐ次の列に並べてしまう、危険なエンドレスループが形成されていまして、特に気温が低いと、自分が思ったより酔っていることに気づかない可能性が多々あるので、要注意です。そこは日本酒ですので、調子にのっていると一発で腰を取られます。実際に満面の笑みを浮かべつつ、両脇を抱えられて連れ去られていくおばあちゃんを見かけましたし。両脇の2人(たぶん親族)は真顔。
私は単独旅行者なので、適当なところで切り上げて、注意深く帰路に着きました。リュックにおみやげの酒瓶を満載しているので、行商の人みたいになっちゃっいましたが。
席取りをしていなかったので、ホントの立ち飲み状態に。しかしながら冬空のオープンエアーで飲む日本酒、これがなぜか、うまい。無性に。何でだろう。
この日は戦利品の運搬を見越して、リュックサックを装備。お土産、自分用、地方発送用を購入。別のテントに特設されているゆうパックの発送窓口から、実家(釧路)へ発送。ちなみに翌日には届いたそうです。
物販列は、酒・酒粕ともに長蛇の列。午後には解消したのかな。
無料試飲で大盤振る舞い! 限定酒の販売も
長くなっちゃったので、個々のお酒の感想は別の記事にしますが、特筆ポイントを以下に。
1 搾りたて生原酒「今朝ノ酒」は度数21度!
アルコール度数18度を赤線で消して、21度と手書きで修正されていて笑いました。口に含むとビリリッと響くような、これぞまさしく大辛口。父親いわく「鬼ごろしみたいな、すげえ辛口だ」とのこと。ちなみに自宅に買って帰って数日に分けて呑んだんですが、封を切った後は徐々にカドが取れて丸くなり、旨みがじんわり染み出してくるような不思議な感覚を味わいました。
2 「たる酒」「特濃にごり」をリピート
いずれも珍しい一杯。たる酒は確かに香ばしい木の香りが酒に移っていて、なんとも言えぬ清々しさ。一方の「特濃にごり」はちょっと味わったことのない新感覚。こちらも2杯いただきました。
3 「まぼろしのあまざけ」に感動!
大釜で仕立てられた甘酒の無料試飲が大人気。「まぼろしのあまざけ!」との煽り文句が貼られていて、どんなもんかと思ったら、まあこれが、お米の粒感がそのまま残っている、初体験の口当たり。昔ながらの「こうじの甘酒」とのことで、まるでおかゆみたいな食感があるんですね。甘さ控えめ&アツアツの一杯は、野外の寒さも相まって、胃の腑にしみわたる美味でございました。こちらも思わずおかわり。
男山は冬に酒を仕込む「寒造り」の蔵元なので、この時期はまさに造りの真っ最中。会場では外国語の会話も聞こえていたので、確かに海外からのお客様もいらしていたようですが、やはり何と言っても地元の常連さんに向けた「日頃のご愛顧に感謝!」というのが主な開催の趣旨でしょう。我々、旅行者もすっかりそのご相伴に預かりまして、ありがとうございました。
無料試飲の列に並んでいると「いやあーめっちゃ楽しいね!」と同行者に笑顔で話しかけている女性がいたりして、ほっこり。まさに飲むためだけに時間を割いて足を運んでいるわけで、混じり気なしの純粋な、娯楽としての野外飲酒は、それはやっぱり文句なしに楽しめますよね、うんうん。
ちなみに来年の日程がすでに発表されておりまして、2月の最終日曜日、
●2025年2月23日(日)
とのことです。行きてえな、来年も。
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