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「トマソン」とは、無意味なものを面白がる芸術的思考


1.はじめに

昨日、「国際芸術祭あいち2025」のPRの一環?として実施されていた愛知芸術文化センターについて学ぶツアーに参加した。そこで「トマソン」と呼ばれる芸術概念について触れる機会があったため、勉強しようと思う。

下の写真が、愛知芸術文化センターの屋上にあるトマソン。立派な建物だが、雨漏りが続いていた天窓を塞ぐために作られ、蓋としての役割しか持ち得ていない。

2.「トマソン」とは

トマソン(Thomasson)は、建築や都市空間における「無用の長物」や「意味を失った構造物」を指す概念。この用語は、日本のアーティストである 赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい) によって提唱された。1980年代初頭、赤瀬川が東京の街中で見つけた奇妙な建築要素を観察・記録する中で生まれた言葉である。

①.トマソンの特徴

トマソンとは、以下のような特徴を持つ構造物を指す:
1. かつて機能があったが、現在は役割を失っている
例: 階段があるのに上がる先が壁になっているもの。
2. 意図せず残された人工物
例: 塞がれたドアや、行き止まりの通路。
3. 美的・文化的な価値がある(少なくとも興味深い)
赤瀬川は、これらの構造物を単なるゴミや廃棄物としてではなく、アートや都市空間の一部として捉えた。

②.用語の由来

「トマソン」という名称は、元メジャーリーガーの ゲイリー・トマソン(Gary Thomasson) に由来する。トマソンは1980年代に読売ジャイアンツに所属していましたが、期待された実績を残せず無駄に高額な契約を結んでいたことが、この概念に当てはめられた。つまり、「役に立たないが存在しているもの」の象徴として名付けられた。

③.トマソンの例

• 建物の壁に埋め込まれた階段
• 使えない電話ボックス
• 取り壊し忘れた看板やポール

④.海外の類似概念

トマソンの発想は、日本の都市文化や美意識から生まれた独自の考え方といえるが、類似の概念や視点は他国にも存在する。

日本独自性
赤瀬川原平のアート的視点
日本では、無用なものや不要なものにも美やユーモアを見いだす文化がある。赤瀬川がトマソンを「無駄を面白がる視点」として提唱した点は、日本の美意識の一端を表している。
日本の都市構造
高密度の都市開発や頻繁な再開発の結果、「使われなくなったもの」が取り残される現象が起こりやすいのは日本独特かもしれない。

他国との関連性
ダダイズムやフルクサス運動
西洋の現代アートには「無意味さ」や「偶然性」をテーマとする作品がある。例えば、マルセル・デュシャンの「レディメイド」やフルクサス運動の作品は、トマソンと似た精神性を持っている。
廃墟文化
ヨーロッパやアメリカでは廃墟や都市の残骸を記録し、アートや歴史的資料として扱う文化がある。

⑤.まとめ

トマソンは日本独特の美的感覚と都市文化から生まれた概念だが、その根底にある「無意味なものを面白がる」という視点は普遍的で、他国の文化や思想とも共鳴する部分がある。

私は、終電を逃したり、知人と会っていて帰りたくないときに何かと散歩したがる癖がある。ここで「トマソン」について知ってしまったために散歩の楽しみが増えてしまった、、なるべく早く帰る気持ちは忘れず、ちょっと視野を広げて散歩を楽しもうと思う。それでは、また!

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