早朝の香り
基本的にたくさん眠ることが好きなので、あまり早起きが得意な方ではないのですが、今日は仕事前に選挙に行くために早起きをしました。
まだ眠い目をこすりながら洗面所に向かい、静かなその部屋で顔を洗います。
少しずつ眠っていた細胞が起き始めますが、まだまだ完全な覚醒状態ではありません。
それでも、準備を進めていくうちに体もだんだんと動きが良くなっていきます。
ドアを開けるとピリッとした空気に包まれます。
自転車にカギをさし、小さいバッグをかごに入れてハンドルを握るとゆっくり漕ぎ始めます。
人気の少ない道を走ります。
朝の澄んだ空気が私の頬を撫でます。
気持ちいい、早起きっていいなと、ひとりご機嫌になります。
冷たくて新鮮な空気を吸い込むと体の中も綺麗になっていくように感じます。
先ほど起きたばかりの細胞も喜んで新鮮な空気に触れて、活性しているようです。
いつもより時間に余裕を持って過ごす朝は心に優雅さを与えてくれました。
慌てなくていいということがこんなにも自分にとって良いものなのか、と実感しました。
時間と仲良くできたことがとても嬉しい、そんな気持ちでした。
さっきまで少し暗めのトーンだった空が徐々に明るくなっていきます。
この変わっていく様子がなんとも美しいのです。
町が目覚めていく感じ。
私にとっては久しぶりの早起きになるので(とは言ってもそこまで早くないので、私より早く起きている人はたくさんいると思いますが...笑)なんだか、町におはよう!とまで言いたい気分です。
まさに早朝ハイです。笑
誰かにとっての日常が、他の誰かの非日常であることは多々あります。
同じ今日であっても、まるきり違う体感を持っています。
私たちは「ああ、今、生きていると感じている」と深く思えることに関して、とても愛おしく思える生き物なんだと思います。
その開いた世界にも、自分自身にも。
以前、本で「我々は生きる意味を探しているけれど、本当に求めているのは今、生きているという経験だ」というのを読んだことがあります。
まさしくその通りだと思いました。
この二つの違いは、生きている意味は頭で考えるもので、生きているという経験は心で感じるものだということになるのでしょう。
まさに、あの「Don't think, just feeeeeeel」と同じことが人生にも言えるということなのだと思います。
みんな本当は考えたって生きる意味なんてわからないでしょう。
でも、「今、私は生きている!」というのは紛れもない自分にとっての実感なのです。
それは、わかるのです。
自分だけにはわかるのです。
そういった瞬間と自分が手を繋いだことが何よりも人が感じたいものなのかもしれません。