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【小説】猟奇犯罪と人間ドラマが交錯する驚愕のミステリー -『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』の魅力とは?
はじめに
内藤了の「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズは、ミステリーファンにはたまらない作品である。私自身、ミステリー小説は好きだが、村上春樹や東野圭吾のような作家の作品にはあまり手を伸ばさないタイプだ。それでも、このシリーズは特別であり、ミステリーファンならぜひ読んでほしい一冊である。
シリーズ第一弾「ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」は、その中でも特に印象深い。主人公の藤堂比奈子は、新米の警察官として刑事課に配属され、そこから残虐な猟奇犯罪と対峙していく。残虐な事件の描写は驚くほど細かく、読んでいるこちらが思わず「こんな事件、一体どうやったら思いつくのだろう?」と震えるほどだ。また、死体の描写は生々しく、グロテスクなシーンに耐性がないと読むのが辛い場面も多い。しかし、そんな過酷な設定の中でも、登場キャラクターたちの魅力がストーリーを支え、読者を惹きつける。
あらすじ
第1弾のストーリーは、犯罪者が過去に犯した事件と同じような死に方をして自殺するという不気味な事件から始まる。比奈子とその同僚たち、通称「厚田班」は、通常の自殺とは一線を画す残虐な手口に疑問を抱き、事件を追っていく。監察医の石神妙子や精神科医の中島保、そしてオタク鑑識官の三木健といった個性豊かなキャラクターたちの協力を得ながら、事件の真相に迫っていくのだ。
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