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夫の実家で3世帯同居していた時の話①

結婚――その言葉には、夢と希望が詰まっているように思える。でも、現実はどうだろうか?特に、配偶者の家族と同居するとなると、その夢は一気に色褪せてしまうかもしれない。

現在、結婚後に配偶者の家族と同居する人の割合は、日本ではどれほどだろう?統計によれば、同居を選ぶ夫婦の割合は年々減少傾向にあり、特に都市部では数パーセント程度だという。

昔は同居が当たり前だった時代もあったが、今ではその風習は薄れ、独立した家庭を築くことが主流になっている。しかし、そんな時代の流れにも逆らえず、私は結局同居生活を選んだ。

私が20代半ばで結婚した相手は、農家の長男だった。当時、配偶者は東京から地元に戻ってきて2年ほど。まだ仕事に安定性がなく、経済的にも厳しい状況だった。

私たちが結婚を考えるようになったとき、配偶者はこう言った。「お金が貯まるまでは同居しよう」と。今思えば、その言葉に含まれた意味をもっと深く考えるべきだったのかもしれない。

私は元々、一人で過ごす時間が好きだったし、正直、家事も料理も得意ではなかった。それに加えて、配偶者の家族と一緒に住むなんて、まるで自分が別の人生に飛び込んでしまうような感覚だった。

それでも、何度か彼の実家に泊まったことがあったし、短期的なら何とかなるかもしれないと自分に言い聞かせていた。しかし、泊まることと「同居すること」は全くの別物だった。

心の中の不安がどんどん膨らんでいく。そんな私の気持ちを、ある日正直に配偶者に打ち明けた。「私、家事も料理も上手くできないし、同居なんて、たぶんうまくいかない気がする…」と。

すると、彼は優しく微笑んで、「大丈夫だよ。無理だったら同居をやめて、引っ越そう」と言ってくれた。その言葉に少しだけ安心し、私は結婚を決意し、同居生活に踏み出すことになった。

しかし、それが地獄の始まりだとは、この時はまだ知る由もなかった。

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