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AIとの共作


AIが小説を書く時代がやってきた。らしい。私は基本小説を書かない。精度はかなり高いらしい。倫理的云々はどうでもよく、好奇心があったので、昔書いたものの続きをAIに書いてもらい、またその続きを書いて、と、AIとラリーさながら文章を綴ってみた。

使用したのはコチラ! 友人に教えられるまで知らなかったのだが、非常に優れた文章を書くAIらしい。無料でできるサービスで、キャラクターの属性などを認識させたり、かなり細かいところまで設定可能なようだ。(今回はほとんど使ってないけど。)語り方も、地の文重視か、会話中心か、というモードも選べて◎ すごいスムーズに書けて楽しかった。今度はもう少し長いものを書いてみようかとも思う。

下敷きとした文章は今年の春に書いたものでした↓


さてどうなったか・・・

作品


どこか行きたい場所ある、と聞かれた。まぁ、特に思いつかんなぁ、と気のない返事をした。思えば、あの時言ってしまえばよかったかもしれない。おまえのいる所が、つまりわたしの行きたい場所であると。どこにも行かなくていい、そこのソファに掛けて、じっと抱き合っていたいのだ。雨の音に紛れて見える幻がある。どこかへ行ってしまったおまえを追うわたしの影に、しんしんと雨はやさしく雫をおとす。背中に感じるあたたかな温度は、おまえへの追慕がもたらした残響だった。割れた鏡の破片のような鋭さで時に過去は立ちあがり、その美しさゆえに自傷する。どこか。いきたいばしょ。声は反響する。すべての空間は死に、おまえだけが残る。ひとつ、生きたい場所なら思いつく。

#1「いきたい場所」

「海」

と私は言った。
「うみ?」
とおまえは聞いた。
「そう、海だ。見たことないか? 海だよ。空よりも青くて広いんだぞ」
おまえはそれを聞いて笑った。なんだそれ。海なんてどこでも見れるじゃないか。
「そうだな」
わたしもつられて笑った。そうだな。どこでも見られるよな。でも、だからこそ、海に行きたかった。この世で最も美しいものを、自分の目で見てみたかった。それがたとえ、どんな色をしていても。
原初の海、それは胎内。わたしたちはわたしたちとして生まれなおすんだ。別々じゃなく一個として。
蒼く染まってゆくわたしたちの魂を、祝福するように瞬いて、気泡たちがしずかにあがっていった。(了)

AIは「海」を補完した。そして、「この世で最も美しいもの」として、「海」を見た。「どこにでもある」「最も美しい」という背反が、鮮やかに立ちあがりながら、日常性から根源へと遡っていく。

最後の二文は私がつけ足した。蛇足だったかもしれない。AIの描いた海は、きっと場所じゃなくても構わない。それはもっと大きな解釈でよい。浄化であり、青さであり、閉塞をぶち破るツキヌケそのものであってほしい。他者と文章を綴るとき、それはきっと自分の力と想定以上のものになる。そうした願いを込めた。ヒト族として、どうしても魂とか、胎内とか、そうした神秘に引き付けようとしてしまったのかもしれない。今度はもう少し対等にAIくんと一緒に書いていこうかなとおもった。
ぜひ一度やってみてください。きっと創作だけじゃなくて、書くこととか、考えることの解像度がぐっとあがるかもしれません。