[読録]退廃的、黒。 ― Edger Allen Poe「黒猫」
認めよう。確かに、黒猫の眼、その神秘的な妖しい光りのなかには、なにか人を恐怖させるようなものがある。しかし、それだけで人々は黒猫を「不吉」のシンボルとして扱ったりするだろうか?
そのような問いに対する一つの答えは、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」のなかにある。
この作品は、ポーの作品群の中で代表的な位置づけを為している作品で、なにより短編の中で優れた輝きを放っている。短編小説というのは、普通の小説や、だらだらと書くような長編のエッセイとは違って、緻密な構成力と