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ある地名の風景

田沢湖の群青    tazawa

小用があり、秋田の田沢湖に日帰り旅行。
何年ぶりだろうか。
真冬の湖も山々も群青色の静寂。

田沢湖は古くは”槎湖”(うききこ)ともいったそうで、
水没している大きな木々の浮き沈みが見られたためとか。
カルデラ湖ゆえでしょうか。
湖畔の南岸には浮木神社があります。

”田沢”の地名は豊臣秀吉の関係資料に初めて現れるといい、
湖名も湖畔の田沢村あってのものでしょうね。

念のため”田沢”という地名を角川の地名大辞典で調べると
東北の他は長野と新潟、静岡だけ。
大字(おおあざ)や市町村レベルの地名に限ってですが、
関東や西日本にはありませんでした。
ちょっと不思議です。

あとは、昔から気になっているのが
南の湖畔にポッカリ突き出る”靄森山”(もやもりやま)。

実は津軽半島の十三湖の北に”靄山”(もややま)があります。
東北地方の北には北海道と同じく
アイヌ語の地名が散在するのは周知の事実ですが、
長年アイヌ語の地名を研究していた山田秀三によると
北海道にある”モイワ”(神棲む小さな山)と同じだといいます。

東北では”モイワ”が縮まって”モヤ”になったという意味ですが、
山容も同じく、そこだけ盛り上がったような独立丘。
いかにも拝みたくなるような形をしています。
これが田沢湖にもあるわけです。

一方で、こんな形の山は”タコ”、”タッコ”と呼ばれる場合があります。
達子森、田子、竜子、達居・・・
ニンニクの産地で有名な青森のタッコもこれです。

”モヤ”に比べると、こちらは「神聖な」という意味より
一様にきれいな形の独立丘につけられるようで、
アイヌ語の意味は「たんこぶ」だそうです。
そしてそれが付近の集落名に。

そこで一つひっかっかるのが
田沢湖に残る「タツコ姫の伝説」です。(口絵の銅像)

この”タツコ”はアイヌ語地名の”タッコ”なんじゃないかなー
っと、昔から思っていました。
つまり、南の湖畔にある”靄森山”が、
”モイワ”であると同時に”タッコ”でもあった・・

だとすると、靄森山が伝説の大元。
この山もかつては”タッコ”と呼ばれていたことを
伝えているのかも。
どうですか?タツコ姫・・(笑)

今回はこんなところですねー。
またいつか、じっくり来てみたいです。

(秋田県仙北市)





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