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ある地名の風景

蛇崩川の記憶     jakuzure-2

今年は巳年。
”蛇”のつく地名は都内にも数か所あるのですが、
その中の一つがここ”蛇崩”(じゃくずれ)。
場所は目黒区の上目黒4丁目あたり。

目黒区らしからぬ、少し荒っぽくて怖そうな地名ですが、
区の町名ではありません。
もともとこのあたりの通称地名のようで、
今目にするのは交差点名、緑道名、道路名などです。

このうち、緑道は昭和48年ころまで
世田谷の弦巻から東流する”蛇崩川”が流れていた跡です。

川の名にもなっているのですから、
わりと広い範囲を指す地名だったかもしれません。

蛇が崩れる・・

私は蛇とともに崩れる崖を連想しましたが、
蛇はともかく、崖崩れは案外当たっているかもしれません。

全国には似たような地名に
蛇抜け、蛇喰(じゃばみ)、蛇崩(じゃぐえ)などがあり、
みな崖崩れだと言われています。

もしそうだとしても、目黒区のそんな場所に”崖”なんて・・?
と思いますが、江戸時代や中世の地形は
今では想像できないような”顔”を持っていたに違いありません。

おそらく蛇崩川が浸食した谷に崖があり、
そこについた地名ではないかと私は思っています。

茨城や福島では、その方言に「じゃく」「びゃく」があり、
山崩れやその跡地を意味するといいます。

また群馬の民俗学者 都丸十九一は
蛇喰、蛇抜けは土砂の流出を伴い、
蛇崩(じゃぐえ)では崩れた跡が長々と蛇の腹のように岩を露出・・
そんなこと言ってます。

「じゃく」と「じゃぐえ」は関係ありそうですが、
目黒の”蛇崩”も元は「じゃぐえ」だったかもしれませんねぇ。

まぁ、私が緑道を歩いてみたかぎり、
一番怪しいのは「上四児童遊園」という
緑道途中のちょっと広くなった地点。

南側に上るちょっとだけキツイ坂があり、
昔の川を考えると、なぜここだけ広いのか不自然に感じました。

前回の口絵にした教会、まさにこの場所。
呼ばれたかな~地名の神様に(笑)

(目黒区上目黒)

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