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公務員試験の面接を知ろう ~実施方法から対策の概略まで~

今回は公務員試験についてです。

どの公務員試験でも、最終合格に至るためには面接試験を突破しなければなりません。また、随分前から、公務員試験でも面接重視の傾向は強まっています。最近では、筆記試験を簡単なテストセンター方式のものだけにして、受験しやすくしているものも多くあり、その場合は、面接が本番と言っても良いぐらいです。

いずれにしても、現在の公務員試験では、どんなに筆記試験の成績が良くても、面接での評価が低いと最終合格するのは難しいうというのが現実です。

今回は、公務員試験における面接試験とはどんなものか、概要を説明した上で、対策法についても触れていきます。


面接試験の種類


面接試験といわれるものにはいくつかの種類があります。普通にイメージできる個別面接の他に、集団面接、集団討論(グループディスカッション)、稀に集団活動(グループワーク)が課される場合もあります。

ほとんどの場合、集団面接や集団討論などが先行して行われ、個別面接はその後実施されることが多くなっています。個別面接は1回とは限らず、2次面接、3次面接と行われる場合があります。

1.個別面接

個別面接は、受験者1名に対して面接官3~5名程度で実施される面接です。

個別面接のイメージ図です。


受験者1名からじっくり回答を聞くことで、その人の能力・性格・熱意などをチェックし人材価値を確かめる選考です。

1人ひとり面接を行うので、受験者の履歴についても詳しく質問ができます。また、自らアピールする時間をしっかりとってもらえることも多くなっています。

所要時間は試験により異なりますが、短くて15分、長いと50分程度です。

多くの試験では個別面接は選考の最終段階で行われることが多く、選考通過の最も大きなヤマ場だと言えるでしょう。

2.集団面接

集団面接は、複数(3~10名程度)の受験者を集めて、同時に面接を行うやり方です。同じ質問に対して参加者全員が回答します。

集団面接のイメージ図です。


受験者をふるいにかけて個別面接に進ませる人を選択するために行われることが多く、複数の受験者の中で比較した評価を出しやすいのが特徴です。

所要時間は30~60分程度ですが、受験者の数によっては1人が回答できる時間は限られています。そのため面接官から「簡潔に回答するように」という指示がされることも多くなっています。

回答の方法は、面接官が指名する場合と、回答できる人から挙手で答える場合とがあります。

集団面接のコツは別記事で詳しく説明しています。良かったらどうぞ。


3.集団討論

集団討論(グループディスカッション)は、与えられた課題に対してグループで討論を行い意見をまとめていくプロセスを面接官が観察し評価する選考方法です。

集団討論のイメージ図です。


課題は事前に知らされている場合もありますが、多くの場合は討論開始時に初めて知らされます。また、討論の進行に面接官が関わることは原則としてなく、受験者の自主的な進行に委ねられます。試験によっては「司会役」を最初に決めることを求められる場合もありますが、そのような指示も行われず受験者に委ねられているのがほとんどです。

また、グループとしての結論を決めることを求められる場合と、結論を出す必要はないとされる場合があります。

集団討論では、グループで協力し合って結論に向かっていくプロセスに対し、いかに貢献できたのかという点が最大の評価ポイントです。

集団討論のコツについては別記事で詳しく解説しています。


4.グループワーク

グループワーク(集団活動)がどのようなものなのかについては、自治体によって異なっているので、一概には言えません。ただ、一般には、ある成果を目指してグループで協力し合って作業し、その成果を提出する、というようなものを指しています。

ただ、公務員試験で「グループワーク」と呼ばれるものの中には、先に説明した集団討論(グループディスカッション)と同内容のものもあります。その場合は単なる呼び方の違いです。

※ 参考
入試系の試験でグループワークと呼ばれる場合は、「共同で○○を作りなさい」とされ、材料を与えられて集団で何かを作るような、まさに「集団活動」の名にふさわしいものもあります。ただ、公務員試験ではそのような方式で行われることはほとんどないようです。名称だけで判断するのではなく、内容もしっかり調べることが大切です。


面接カードもおろそかにできない



多くの公務員試験では、面接時に面接官が手元において使用する「面接カード」を提出することになっています。

多くの場合、面接カードは筆記試験の合格通知とともに受験者に送付されます。そして、事前に郵送で提出を求めたり、当日持参を求めたりします。

最近は、ネット上にフォーマットを公開し、ダウンロードして使わせることも多い傾向です。その場合は、メールでの提出を求められることが多いです。

面接カードは自治体によって呼び名が異なり、「面接カード」、「面接質問票」、「自己PRシート」、「面接票」など色々バリエーションがあります。また、面接カードの提出はなく、出願時に提出するエントリーシート(申込書)にさまざまな質問を用意し、それを面接時にも参照するという試験もあります。

面接カードは、それ単体としては選考対象にはなりません。面接カード自は採点されないのです。しかし、だからといっておろそかにして良いものではありません。

面接官は面接カードを手元に置いて面接を行うのです。したがって、面接カードから受ける印象は、面接での評価にも必ず影響します。たとえば、一目で読みやすく内容を把握しやすく書かれていれば、それだけで高評価となるでしょう。

たとえば、面接カードに伝えたい内容をすべて盛り込もうとしてしまい、小さな文字でびっしり長々と書き込んでしまうのは良くありません。面接カードは「面接で使うもの」だからです。カードだけですべて伝える必要はなく、面接官が質問するためのヒントがあれば良いのです。細かな説明を長々とするのではなく、「是非聞いて欲しい」と思うアピールポイントを質問してくれるように材料を簡潔な表現で記入することが大事です。

また、面接カードの内容と口頭での回答に矛盾があると、不信感を抱かれてしまいます。面接カード記入時には、実際に回答するときのことを想定し、きちんと説明できる内容を書くべきです。

公務員試験の面接ではどんなことが質問されるのか

公務員試験でよくある質問21個


面接での質問は、自治体や機関・組織によって異なります。ただ、共通の「よくある質問」はありますので、ここで紹介しましょう。非常に典型的な質問です。

  1. 志望動機

  2. なぜ他ではなくこの自治体(機関・組織)でなければならないのか

  3. なぜ民間企業ではなく公務員を志望するのか

  4. この自治体(機関・組織)が実際に行っている施策や取組で注目しているものは何か

  5. この自治体(機関・組織)が現在抱えている課題は何だと思うか

  6. 他の公務員試験・民間企業等への併願状況

  7. 学生時代の専攻内容

  8. 学生時代に学業以外に力を入れて取り組んだこと

  9. サークル、アルバイト、ボランティア活動等の経験

  10. 現職・前職で自身が上げた成果(転職者の場合)

  11. チームで何かを成し遂げる上で大切なものは何だと考えるか

  12. リーダーシップを取ることができるか。どんなリーダーになれるか。

  13. これまでの経験で最も困難だったことは何か。またそれをどう乗り越えたのか。

  14. 長所、長所を活かせた場面

  15. 短所、短所で失敗した場面、短所の改善方法

  16. 周囲の人からどんな人だと言われることが多いか

  17. 趣味

  18. ストレス解消法

  19. 10年後にはどんな職員になっていたいか。

  20. 採用後、上司と意見が食い違ったらどう対処するか

  21. 自己PR

これらは代表的なもので、他にも色々な質問はあります。特に、受験者の履歴によって質問内容、質問の仕方、質問の比重は変わってきます。ただ、少なくともここに挙げたようなものは、いつも質問される可能性があるものだと考えておく必要があります。

公務員試験の面接対策で必須のこと


公務員試験の面接対策としてやるべきことは色々ありますが、下記のことは必須だと考えてやってください。

1.最低限の最低限のマナーは押さえておく

まず、面接試験はマナーの試験ではありませんから、細かいマナーについて神経質になる必要はありません。例えば、ノックの回数は3回と言われていますが、それが2回になったとしても何ら影響はありません。

しかし、面接は面接官が受験者を観察して評価するものですから、やはり受験者の与える印象は評価に影響します。あまりにもマナーがひどいとそれだけで印象が悪くなってしまうのは当然です。

大切なことは、面接官に対して敬意をもって接し、礼儀を尽くそうとしているという姿勢が感じられるように振る舞うことです。そのような想いで振る舞えばほとんどの場合問題は生じませんが、中には悪印象を与えてしまうような立ち居振る舞いになってしまうような人もいます。したがって、そのような点がないかどうかは事前に第三者のチェックを受けておいた方が良いでしょう。

面接におけるマナーについての考え方については下記の別記事をご参照ください。


2.自治体研究・政策研究は絶対やろう

応募先(自治体や機関・組織)にぜひ採用してもらいたいという想いを具体的に示すためには、応募先のことを知らなければなりません。好きな相手に告白しても、相手のことを何も知らなければ、相手は本気だと思ってくれないのと同じです。

したがって、応募先の現状、政策や取組、抱えている課題などについては、ある程度詳しく知っておく必要があります。これらを調べて行けば、例えば自治体の人口動態についても知ることになるでしょうし、特徴的な政策や取組についても知ることになるでしょう。そして多くの場合、これらには「○○プラン」のような名前がついているはずです。

なぜなのか、公務員試験受験者の中には、これをおろそかにする人がたくさんいます。そしてそういう人の志望動機などは、「公共の利益」とか、「住民のために」とか、「地域の発展のために」とか、「国の将来のために」といった、漠然として抽象的な言葉が並びがちです。そして、深掘りされても、抽象的な回答を繰り返すことになってしまいます。これでは評価は得られません。「うちじゃなくても良さそうだな」と思われてしまうでしょう。

「志望動機」、「やりたい仕事」、「注目している政策・取組」、「行政上の課題」などの質問に対しては、特にこれらの応募先研究が効果を発揮します。また、行政組織は組織図を公開し、各組織の業務内容も公開しているのですから、部署名などもきちんと調べておく必要があります。

調べた内容をどう活かすかの例としては、志望動機の作り方について説明した別記事が参考になると思います。


3.自己分析をしよう

自分をアピールするものは過去の自分でできています。過去に経験したこと、過去に努力したこと、あるいは過去に挫折したことなど、これまでの自分の中にあるものの中からアピールポイントが出てくるのです。

それは、スキル・能力というようなものであることもありますし、考え方、物事への取り組み方といったものであることもあります。たとえば「努力します」といくら意気込みを語ったとしても、それが過去の経験などから裏打ちされていなければ単なる空虚な宣言に過ぎなく見えます。

また、「なぜこの自治体なのか」、「なぜこの組織なのか」、「なぜ公務員なのか」、「なぜその政策に取り組んでみたいのか」なども、漠然とした意義を語るだけではたりません。ご自身の過去の経験やその経験から形作られた考え方などと、これらが繋がっていることを説明する必要があるのです。

したがって、面接の回答を考える際には、自分自身の過去を棚卸して、どの経験がどんな能力に繋がっているのか、どの経験がどんな考え方や姿勢に繋がっているのかを整理しておく必要があります。

これらのことを行うことによって、面接を通じて自分の何を強みとして訴えるのかが整理され、予想しないような質問をされても適切に答えることができるようになるのです。

ここでは、一例として自己PRの作り方について説明した別記事へのリンクを置いておきます。


4.伝わる表現方法

面接では、限られた時間で回答して真意を伝えなければなりません。したがって、面接官に最も良く伝わる回答の構成や話し方を選ぶ必要があります。

これについては、例えば「まず結論を述べる」ということにを気を付けるだけでも効果があります。質問に対する回答の結論が回答の最後に来るようでは、面接官は聞くだけで疲れてしまうということもあります。

また、結論を根拠づけるために何を話すのか、たとえばどんなエピソードを選択して話すのかなども良く考えないと、散漫でわかりにくい説明になってしまいます。結論を根拠づけ、自分自身をアピールするのに最も有効な内容で、なおかつ、面接官に伝わりやすい内容をチョイスする必要があります。

これについては、下記の記事の後半「回答内容に関するポイント6個」で、伝わりにくい表現を挙げていますので参考になるでしょう。


5.印象面も軽視はできない

かなり昔は、公務員試験で面接は現在ほど重視されていなかったため、ちょっと「変わった人」と言われるような人が公務員試験に合格していることは良くありました。「変わった人」というのは語弊がありますが、対面した時の印象が、あまりよくない感じの人です。

しかし、現在の公務員試験では、面接が重視されており、回答内容を評価するだけではなく、回答しているときの様子も評価の対象になっています。わざわざ対面して面接を行うのは、言語的なコミュニケーションだけでなく、非言語的な面についてもチェックしたいと考えているからです。

たとえば、難しい質問をされて答えに窮したときどのような表情をするのか、また、緊張しているときにそれをどのように乗り切ろうとしているのかなどは重視されています。また、少しきつく突っ込んだ時に声が小さくなってしまったり語尾が曖昧になったりすれば、それは確実に悪印象に繋がります。回答そのもの以外にも面接官は目を光らせているのです。

そのため、想定質問に対してしっかりとした回答原稿を用意し、徹底して頭に入れたとしても、それだけで合格できるとは言えないのが面接です。ある意味、回答内容よりも、直接会って観察してわかるその人の「印象」というものが大きく評価に影響することは知っておきましょう。

このような非言語的な面については、自分自身ではマイナスに気づくのが難しいという面があります。事前に第三者に評価してもらうことが大切です。

これについては、下記の記事が参考になるでしょう。


まとめ

公務員試験における面接試験の種類と、その対策の概略を見てきました。公務員試験においても、面接試験は極めて重要で比重の高い選考です。事前にどのような内容なのかをしっかり調べ、必要な対策を早めに行いましょう。

筆記試験が終了し、集団面接や集団討論、個別面接と進んでいく期間、以外と時間がありません。筆記終了後から対策をするのではなく、余裕のある時期にどのような面接試験が課されるのかを調べておき、筆記直前期になる前に、ある程度対策も進めておくのがおススメです。

それくらい公務員試験でも面接試験は重視されているのです。



最後までお読み頂きありがとうございました。

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