私の仕事、私の役割
2018年の12月に結婚をして、3年目に突入。私たちは交際0日で今に至るのでお互いのことを知っている様で知らないままビザの関係で遠距離の10カ月間を経て私のアメリカ生活と同居が同時にスタートしました。これまでの日米の遠距離からいきなりほぼ24時間同じ屋根の下で暮らす生活となり、最初は本当に些細な事でよく衝突をしていました。
最初の約1年は義両親との同居から始まったので、本来なら気を遣うところですが、私の場合は特に義母が精神的にサポートをしてくれたので本当に心から感謝しています。新婚の一番いい時期に同居からスタートという事で私の周りからは最初心配されたこともありましたが、私たち夫婦をとても尊重してくれていたお陰でとても快適に暮らすことができました。そして何より、義両親と近い距離で過ごせた事で夫がどういう環境で育って来たかがよくわかり、その後の関係構築にとても役に立ちました。
私の前職で培ってきた人間観察力によって義両親のやり取りから夫とのコミュニケーションの取り方をコツや癖を習得していきました。夫が義母や義父それぞれに対してどういうやり取りをしているか観察する事で、今までどのように育ってきたかがとてもよく見えるものです。これまで交際0日で言わばバーチャルでのやり取りがメインだった夫とのやり取りが一転して、いきなり同居が始まったので夫という存在を理解するには義両親の存在はとても有り難かったです。
義母曰く、義父と夫はとても似ているらしく、寡黙であまり自分の気持ちを表に出さないタイプでどちらかと言うと気難しい性格だと。私もそう思います。義母は夫の性格を月と太陽があれば【月】だと表現してました。日々の生活を通して些細な喧嘩をする度にこの事が大きなヒントになっていきました。お互い違う人格であるため意見や価値観の擦り合わせをしたいので小さい事でもそれに対してどう思うのかを話したい私と、その過程が少し考えればわかること、人にはそれぞれ価値観があることを理解していない、しようとすらしない夫が一方的にイライラして喧嘩のようになってしまう事が私には心外でした。
例えるならば、洗濯物は表を向けて干すのが当たり前と思って信じて疑わない人は、太陽の光で服が痛むのを避けるためにわざと裏返して干す人もこの世の中にいる事は知るよしもない様なものです。例え「洗濯物をどう干しますか?」と聞いたところで、前者の様な人は「洗濯物なんて表を向けて干すのが当たり前なのに、そんな簡単なことを尋ねるとはなんて馬鹿げた質問なんだ、常識が無いのか」と気分を害する流れになってしまいます。一方で、色々な方法があることを知っている前提であれば、この質問はどんな価値観を持っているのか尊重したいからこそ尋ねる質問なのです。気分を害するどころか心地いい質問になり得る質問なのに結果はこうも異なってしまいます。私たちの衝突は度々このタイプが原因で起こり、夫が前者で私は後者だと分析しています。
自分のやり方が普通、common senseと決めつけて、自分にとっては些細なことは切り捨てるという考え方は、それも一つの価値観とはいえ時に危険な発想になり得ると思っています。私は色々な価値観の人たちとやり取りをしてきた経験上、両者のやり方がそれぞれ正解なこと、それぞれ相反する価値観でもそれぞれ尊重されるべきであり、優劣を決めるべきでは無いことを知っているが故に私には夫の狭い世界観が窮屈に感じていました。また同時に、そういうことはわざわざ話したくないと言う夫の言い分も理解できるので私の言うことが正しいはずなのにわかってくれない夫が悪いという意味ではありません。
誰しも一緒に暮らす相手と衝突を繰り返して毎日楽しく過ごせる人がいるとは思えません。そこで、私は義母が夫は【月】だと表現した事に注目し、そこにヒントが隠れていると思ったのです。義母は義父や夫、誰に対しても適度な距離を保ちながらも受け入れ、聞き上手で私もすぐ話かけたくなる程心地良い雰囲気を醸し出せるタイプです。言わばいつも家族の良い所を引き出し、スポットライトを当ててくれる【太陽】の様な存在だと思っています。
自分の思いを心に秘めて表に表さない【月】の様な存在の夫を人生の伴侶に選んだ、選ばれた私が目指すべき方向は、やはり【太陽】だと思います。パートナーとして一緒にやっていく為には二人が似たもの同志になる必要はないと思うので、それぞれの足らずを補っていくことが重要です。そのためには【自分の役割】を理解し、するべき【私の仕事】を遂行していくのみです。簡単な事ではありませんが、筋トレと似ているところがあり、進むべき方向が明確で何に効果があるかを理解していれば、ひたすら回数を重ねていく事で効果が現れます。
実際に少なくとも私は夫の態度にイライラすることは確実に減りました。それは、私は家族の中で【太陽】になる事を目指して、それぞれに光を照らして心を育んでいくと言う【役割】を遂行する仕事である事を意識しているからです。負けて勝てと言う言葉があるように、相手の言葉に一喜一憂する事なく一歩引いた距離を保ち、接していくと言うのは自分だけでなくお互いのためになるのだと日々実感しています。
【私の仕事】と【私の役割】が明確となってからまだまだ動き始めたばかりです。これから家族がどのような形になっていけるか、良い方向に導いていけるかも私の力量にかかっているところがあるので不安も少しありますが、未来はとても明るいものだと私は強く信じています。