スタートアップCTOが、創業時の自分にどうしても伝えたい5つのこと
この記事は何?
ログラスというBtoB SaaSスタートアップを立ち上げ、正式リリースから1.5年が経過しました。今では上場企業様を中心に数十社にご利用頂いております。創業時を振り返って、かつての私に強く伝えたいことをまとめて書き記しています。
CTO アドベントカレンダー 11日目の記事です
https://qiita.com/advent-calendar/2021/cto
こんな方に読んで欲しいです
新規事業の開発責任者
スタートアップ創業エンジニア、CTO、開発責任者
それらになろうとしている方
▼その1: (出来うる限り)コードを書いてはいけない
スタートアップCTOの最も重要な責務は、プロダクトをリリースすること
正式リリース前において、スタートアップCTOの最大の責務はなんでしょうか?
私は、「できるだけ早く、しかし、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態(MVP)で、プロダクトをリリースまで持っていくこと」だと考えています。
MVPが多機能である場合は、そのMVP仮説を疑うべき
エンジニアの性として、コードを書いていると安心する。
コードを書いていると何かが進んでいる気がしてしまう。
しかし、立ち上げフェーズにおいては大きな間違いです。
しかし、ビジネスはリリースしない限りまえには進まない。
「いかに、コードを書かないか?」を常に考えるべきです。
なぜなら
フルタイムでドメイン知識も多くある正社員エンジニアのリソースは最も貴重であり、無駄にできない投資です。
そもそも人的、資金的リソースは圧倒的に不足しています。
「作った機能の6割が使われない」と言われています。
コードが多いほうが不具合も増えやすい、テストケースも豊富に必要になる、という運命に抗うことは難しい。
コードを書かないためには、最初に実現するべき機能を徹底的に削るアプローチが最も健全
そもそも、スピードのために品質を下げるアプローチが上手くいかないことを胸に刻むべき
お客様のペインを非常に深く知っているか?
創業者が自分たちが解決したい課題に取り組んでいることは、大きなアドバンテージです。
自分たちこそが顧客であれば、機能を極限まで削る判断が出来ます。
そうでなくても、『デザイン思考』『デザインスプリント』といったアプローチに習熟することも価値があると思っています。
スタートアップがリソースも莫大にある大企業に勝てるのは、リソースがないからこそ、お客様に本当に必要な機能に絞って作るしかないから
卓越した質を持つ機能にフォーカスすることが重要
ログラスではどうだったか?
設定画面については、リッチに作りすぎた、実装を遅らせられた、Excel/CSVでの設定のみで支障がない、CSで代替できる、に該当するページが有った。
ノンコア機能については、作らないを前提で考えるべき。
Auth0などSaaS、OSSを積極的に利用してきたが、さらに大胆に、他SaaSに移譲し、仮説検証を進められたはず。
クラウドサービス、SaaS、OSSの知識は、サービス立ち上げ期に非常に有用です。
▼その2: データモデルの設計は、ドメインエキスパートを交えて検証、磨き上げなければならない
データモデル設計は、後戻りが難しい
ログラスは創業期から、ドメインエキスパートを交え、膨大な議論を交わしてデータモデルに落とし込んできました。
そして、PO、ドメインエキスパート、ビジネスサイドを巻き込んで、DDDというアプローチを活用し、プロダクトを組織のコアに置いています。
それでも、ログラスは大規模なマイグレーションを伴うデータモデルの変更を何度か行う必要がありました。
特に業務に関連するシステムであれば、様々な現場のユースケース、近い領域の先発プロダクトでどう解決しているか?を知ることは、大きな価値がありました。
▼その3: 採用活動を怠ってはならない
大企業も積極的にソフトウェアエンジニアの採用を始めています。
「日本人エンジニア採用だけを考える時代は完全に終わった」
「スタートアップでも、積極的にオフショアも活用している」
「転職ドラフトで、◯◯社さんのオファー金額、ものスゴいぞ?!」
など、エンジニア採用市場は加熱しています。
スタートアップCTOとの会話も、採用について、がメインになりがちです。
自分だけがコードを書くよりも、任せられる優秀なエンジニアを採用する活動は経営者としてとても重要です。
スタートアップ創業期は採用活動をしなくてもいいか?については、ノーです。採用母集団の形成、採用のリードタイムを考えると、半年、一年先を考えて動くことが重要です。
創業時の私へのアドバイスとしては
発展途上で恥ずかしいレベルのサービスであっても、決して、サービスをつまらない表現で語ってはいけない。
サービスが目指しているもの、アツい思いを伝えていく練習は、採用活動でとても重要です。
「本当になにもないスタートアップ」を魅力に思ってくれる人は多い。(迎えるはずの)急成長を見せるためにも、「初期から知ってるXX社」は、採用活動で大きなアドバンテージになる。
創業から2年経つと、ローンチ前、必死に面談した方々が再度応募してくださることも多いです。採用は時間がかかります。しかし、誠実に向き合う限り、決して無駄になりません。
SNSを全力で頑張ろう、というのはとても価値がありました。
2年間誘い続ければ、どんな人でも一度は転職を考えるタイミングが来る
これは実際の成功事例です。本当に仲間になってほしい人には定期的に声をかけ続けましょう。
※今は副業必須ではないのですが、ログラスの採用活動の歴史が書かれています。
▼その4: 先輩CTOから、積極的に話を聞こう
自分や組織、ビジネスの将来を予測することは難しい
日々、目の前の課題に取り組むスタートアップでは、視野としては自然と狭まっていきます。コードに向かう時間が長ければそれも当然です。
目の前の課題も、これまでたくさんのスタートアップが同じ様に立ち向かってきたことばかりです。
しょぼいスタートアップのCTOなど、本当に何者でもありません。それを経験しているからこそ、先輩CTOは本当に優しい方ばかりです。
私も彼との面談で、何度も大きな成長のきっかけを掴んできました。
創業時の私へのアドバイス
SNSやFacebook、VC経由などで、先輩CTOと会話しましょう。
※Meetyおすすめです!
▼その5: どんな会社、組織、サービスにしたいか?の議論をしよう
スタートアップのカルチャー作りは、創業前から始まっています。
創業者が自分たちよりも優秀なメンバーを採用し、権限移譲を成功させていく度に、その役割は変わっていきます。繰り返していくことがスタートアップの成長です。
いずれ創業者の存在意義は、誰にも権限移譲できない「会社組織の存在理由を語り続ける人」にまで純化されていきます。
どんな組織を目指して、どんな人を採用するべきか?どんなサービスを作り、どんな世界を上げたいのか?の議論は、徹底的に行っておくべきです。
創業時のその思いが、数年後に多くのメンバーにとっての共通の精神的基盤になっていくと考えています。
CTOにとっては、どんなエンジニアを自社に集め、どんな開発組織にしていきたいか?を考え続けることが開発組織作りの第一歩です。
創業時の私へのアドバイス
写真や動画を沢山撮りましょう。
そして、写真を撮るような大切な瞬間を沢山作りましょう。
その瞬間がなぜ重要なのか?どうすれば、もっと増えるのか?を考えることが、スタートアップのカルチャーを作ることだと思っています。
エンジニア採用については、どんなにリソースが足りなくても、カルチャーフィットを決して譲れない項目に置き続けられたからこそ、現在のすばらしい開発チームを作ることが出来ています。
ログラスは、エンジニアを超積極採用中です!
Meetyもぜひ!
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