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採用広報最新のトレンドは「原点回帰」?〜2025年トレンド予測と“伝える”を軽視しない採用サイトの設計〜


“ログラスnote駅伝”とは?

箱根駅伝の名物といえば、“山登り”。新年をさらに勢いづけていくために、
12月アドカレを走り切ったプロダクトチームからたすきを受け継ぎ、ログラスで「山を登った」エピソードをビジネス部門・バックオフィス部門が語ります!

今回はPRの佐藤が担当します。

前回更新のフィールドセールスマネージャー、中村さんの記事もご覧ください!


はじめに

ログラスでPRを担当している佐藤です。
毎年お正月には箱根駅伝を欠かさず見ています。今回の「ログラスnote駅伝」を企画した者でもあります。(この話はまたいつか)

今回は、この1年で感じた採用広報のトレンド変化についてと、「採用広報の原点回帰」をテーマに取り上げます。特に採用サイトをはじめとするオウンドメディアのトレンドに焦点を当てつつ、昨年秋から冬にかけて取り組んだログラスの採用サイト再設計の事例を、私自身の「山を登る」エピソードとして紹介します。

この記事が、採用広報に携わる方々の参考になれば幸いです。

採用広報のトレンド変遷について

採用広報のトレンドについては、2021年に採用広報のムーブメントをけん引していたナイル社のワタナベさん(現ナレッジワーク社)が取り上げてらっしゃいました。

サマリは以下です。

黎明期:プレイヤー不在、オウンドメディアでのコンテンツ発信が主流
拡大期:採用広報・採用マーケティングのバズ・noteやミートアップが一般化
浸透期:オウンメディア・外部メディアが活用され、「当たり前に発信できる時代へ」
現在(2021年当時):Meety、YOUTRUSTなど現場社員が自らSNSで発信する時代へ

参考:https://note.com/spw63/n/n46510cc1882a(ワタナベシンペイ,2021年12月7日)

X・Instagramなどの広告を活用する企業の増加、YoutubeやPodcastなど映像・音声メディアの台頭など、細かなトレンドはさまざまでしたが、2021年からしばらくは、テックブログやnoteなどと、SNSの個人アカウントを掛け合わせた発信活動が基本となっていました。
特にアーリーフェーズのスタートアップでは、リアルタイム性と信頼性(社員の名前と顔がわかる)・そして何より低コストなため、自主的な発信が多くされてきました。

2021年以降は、X(旧Twitter)やInstagram広告の増加、動画やPodcastなど新たなメディアの台頭が見られるも、トレンドは引き続きコンテンツとSNSを掛け合わせた発信でした。

また、情報のリアルタイム性を高めるツールとして、Notionを活用した採用サイトも増えたのも特徴的でした。
Notionはコストが低い上、情報の追加や削除が容易で、変化の多いスタートアップに適していると思います。(ログラスも昨年までこの形でした)

参考例:IVRy採用サイト、ファインディ採用ページ

◾️現在のトレンドは?

この数年程度の間に、創業間もないスタートアップから大手企業まで、「採用広報をやっているのは当たり前」状態になりました。

それゆえ、SNSもブログもミートアップも、3〜5年前までのトレンドはすでに一般化し、各種コンテンツの話題性や優位性は少しずつ薄れています。
同時に、現場主体の発信で増加したコンテンツの管理や、情報の整理の難易度も上がっています。

また、変化したのは企業側だけではありません。
求職者も企業から発信される情報に依存せず自らSNSや口コミサイト、外部メディアなど複数の情報を収集する傾向が続いています。

ログラスではカジュアル面談の参加者の方にアンケートを実施していますが、採用サイトや会社紹介資料、求人票はもちろん、ほぼ100%の方がnoteやテックブログなどのコンテンツを読んでくださっているというデータがあります。おそらく多くの会社で同じような状態だと思います。

そのため、
・企業として一貫したメッセージがブレなく発信されているか
・「信頼できる既存社員からのクチコミ(リファラル)」や「面接での振る舞いや言動」など、メッセージと地続きのCandidate Experienceを提供できているか
・そもそも「本当にいい会社」という本質的な状態であるかどうか

これらの点がより問われるようになったと感じます。

◾️では、次のトレンドは?

こうして採用広報から大きなトレンドが生まれづらくなったり、求職者の自主的な情報収集が一般化したことを背景に、最近は、企業としてのメッセージと実情をブレなく伝えることに重きが置かれ、メッセージ発信の一丁目一番地としての採用サイトの作り込み×本質的で一貫したCandidate Experienceの提供が改めて注目されていると感じます。

直近では海外子会社立ち上げに合わせて採用サイトをフルリニューアルしたへラルボニー社、シリーズB資金調達に合わせて採用サイトを公開したダイニー社は、SNSでも話題になっていました(もちろん両社はミートアップや採用イベント・リファラル採用なども精力的に行っており、Canditdate Experienceにも一貫性のある企業として、ベンチマークしています)。

参考:へラルボニー 採用サイト、ダイニー採用サイト

両者に共通しているのは、以下の2点です。
1.メッセージが明確で、ワーディングやクリエイティブが洗練されている
2.コンテンツへの導線が整理されており、情報がスムーズに届きやすい

こうしたトレンドの変遷に鑑み、ログラスでは10月末にコーポレートサイト・採用サイトのリニューアルを行いました。

次の章では私がトレンドととらえる「採用サイトへの原点回帰」と「本質的で一貫したCandidate Experienceの提供」のうち、採用サイトについて、ログラスの事例を書いていきます。

ログラスの採用サイト設計

◾️目的の設定

大きな目的は以下の2点におきました。

①求職者を中心としたステークホルダーからの信頼獲得
②複数の採用課題解決への寄与

PRやブランディングにおいて、信頼獲得は永遠の課題であり、定量的に測るのが難しい側面もあります。そのため、リニューアルプロジェクトでは一旦ローンチを目標に据え、次のフェーズでさらに効果検証を行う方針を採用しました。ログラスでは「目先の成果ではなく、長期的な価値提供を重視する」という考え方が浸透しており、プロジェクトの開始はスムーズでした。

①求職者を中心としたステークホルダーからの信頼獲得 
ログラスのプロダクトは創業以来、エンタープライズ向けに提供されてきました。そのため、採用サイトやコーポレートサイトも、信頼感を与える内容やデザインが求められます。
また、社員数が急増する中で、スタートアップ経験者だけでなく、国内大手企業や外資系企業出身者の採用も増加しています。こうした多様な背景を持つ求職者に「ブランドにふさわしい信頼性」を感じてもらうことが重要だと考えました。

②複数の採用課題解決への寄与
企業フェーズが進む中で、採用活動においてこれまでとは違う求職者様からのフィードバックが寄せられるようになりました。
特に顕著なのは、「ログラスは怖いイメージがある」というものでした。

これらの課題に対し、選考を通じて「イメージと違った」と好転するケースは多いものの、選考前に離脱する潜在的な求職者が一定数存在していると考えました。そこで、採用サイトを通じてメッセージを届ける重要性を見直しました。

◾️進め方

プロジェクトのリードは主にPRで行い、HR・ハイアリングマネージャーや選考担当者、デザイナーなどと進めていきました。
職種ごとにメッセージに少しずつ差分が出ることになったため、採用サイトの構成も全職種対応・エンジニア・新卒とそれ以外のコンテンツページという形で分けることになり、主な進め方としては下記のようにしました。

①課題が多いポジションに関するヒアリング: ハイアリングマネージャーやHR担当者、既存社員から情報を収集
②職種別PR戦略の設計: ポジションごとのメッセージやターゲット設定を明確化
③職種別会社紹介資料の作成: 会社紹介資料のリニューアルとコンテンツ制作
④サイト構成の設計: 会社紹介資料を基に、職種別採用サイトを構築

ここでは①でヒアリングした内容の解釈が関係者間でブレていたり、そもそも採用数が多いために、“ペルソナを固めすぎない方がいい”という点が求められることもあり、メッセージは尖らせたい、けれどもある程度広く共感いただける「ちょうどいい」ものを目指す中で、現場とのチューニングは難易度が高いものでした。

しかし、ここまでを丁寧に設計したことで、会社紹介資料から採用サイトへの一貫性につながり、スムーズにプロジェクトを進めることができました。

また、構成とほぼ同時並行で各情報のコンテンツの新規作成を行いました。
詳しくは後述しますが、会社紹介資料および採用サイトのリニューアルに伴い、新たな取り組みを複数行っています。

そのため、社内メンバーの調整・写真撮影・各種ワーディング・社員インタビューの企画・実行・執筆などのコンテンツ制作のタスクが大量に発生しました(笑)
そのほとんどが内製だったこともあり、同時進行のコンテンツ制作は正直大変でした。これはスケジュールに余裕を持たせて程よく外部に委託できていたら…と振り返っています。

◾️こだわりのポイント

前項であげた採用サイト刷新の目的「②複数の採用課題解決への寄与」で挙げた「怖いイメージの払拭」という点を重視しました。
これは社内へのヒアリングや候補者様からのフィードバックを読み返し、以下のような課題が見えてきました。

・実力主義を過度に感じられている
・一部の社員が目立ちすぎていて、会社全体の雰囲気が不明瞭
・若手が多く、体育会系の印象があり、文化に馴染めるか不安
・教育体制やキャリアパス・働き方などが不明瞭

大前提、これらの情報については、ログラスがこれまで発信してきたことからできたイメージですし、実態としても大きく間違っているわけではありません。

しかし、フェーズが変わる中で整ってきた部分や、適切にメッセージを伝えきれていない部分があると考え、採用サイトの設計やコンテンツ制作は主にこれらの「怖い」というイメージの解消と、改めて「ログラスのリアルをメッセージとして届ける」という点に重きをおいて設計をしました。

以下、特に留意したポイントを解説します。

①写真を多用&プロフィールを追加。社員と会社の雰囲気を見える化

デザインチームとイメージを共有しながら、プロのカメラマンによる写真撮影を行いました。人選については、性別もバラバラ・若手〜ハイキャリアなメンバー20人程度を集めました。人員増加によって組織は多様化していますが、実態に沿ってボリュームゾーンである20代後半から30代中盤の社員に多く参加してもらいました。

また、エンジニア採用を行う中では「特定の業界や企業出身者でないと活躍できないのでは?」といったフィードバックをいただいたことがあったため、採用サイト・会社紹介資料ともに、メンバーのプロフィールを追加し、組織の多様性を伝えています。

エンジニア向け会社紹介資料より抜粋(https://speakerdeck.com/loglass2019/loglass-in-10-min-for-engineers)

②新規ページの設置
以下のページを新たに追加しました。


・成長環境や働く環境について
これらは、これまでも会社紹介資料の中には含んでいた内容でしたが、あえてページとして切り出すことによって、単純な制度やフォロー体制の羅列だけでは伝わらないファクトとメッセージを伝えています。

・社員インタビューについて
社員インタビューは「怖い」イメージの解消と、会社として届けたいメッセージ・ストーリーを見ていただく導線として設置しました。
前述した通りログラスでは個人が書いたnote発信も求職者の方からよく見ていただいています。一方で、発信量が増えたことで、情報を探す難易度が高まっていることが課題でありました。

そのため、あえてインタビューページを新設することで、例えば下記のようなログラスの次のフェーズに向けて見てほしい情報をコンパクトにまとめています。

・キャリアアップやキャリアチェンジ・権限委譲の事例
・苦戦しながらも努力と仕組みで成果を挙げたセールスメンバー
・ビジネス職とエンジニアの距離の近さ

今後もコンテンツは追加していきますが、「見てほしい情報を届ける」という点から、その数を増やしすぎないことや導線の強化も検討しています。

また、企業からのメッセージと、自分で探した情報。
両方からログラスへの理解を増やしていただくことが、選考に進む上での納得感につながると考え、noteへの導線も職種ごとに探しやすい形で残しています。

③職種別ページへのキャッチコピー&ボディコピーの追加
トレンド予測の項でも紹介した通り、「企業としてのメッセージと実情をブレなく伝える」ことが重要と考え、新卒・エンジニア職のページトップにキャッチコピー・ボディコピーを追加しました。

職種ごとにターゲットが少しずつ変わっていく中でも統一した価値観を提示するため、コピーライターと社内の関係者と調整しながら進めました。

正直なところ、これらは直接的な効果を測るのが難しい(というより無理)なのでブランディングとしての割り切りと、言葉を届ける者としてのこだわりだけをエネルギーに進めています。

まとめ

移り変わる採用広報のトレンドを追うのは大変なことですが、本質的には候補者の方へ“伝える”を軽視しないことが重要だと思います。採用広報もブログもSNSもすべては手段なので、基本的には会社のフェーズにあったことに取り組んでいただくことが良いと思います。

ログラスの事例がが少しでも参考になれば幸いです。


ログラスでは現在一緒に働いていただける方を募集しております。
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