【ICC優勝!】カタパルトグランプリを制したスタートアップピッチの極意
こんにちはログラス代表の布川です!!!
ログラスって何の会社なの?という方は是非、この記事を読む前に以下のページをご覧下さい!
さて、この度ICC KYOTO 2021「カタパルトグランプリ」にて優勝させて頂きました!!!!
「カタパルト グランプリ」は、Industry Co-Creation(ICC)サミットのセッションの1つであり、過去の「カタパルト」で高評価を得たプレゼンターが一堂に会するピッチイベントです。
ICCはIVS、Techcrunch、B-Dashといったイベントと並んで、スタートアップの登竜門と位置づけられており、ここで優勝させて頂けることには価値が非常にあったとビジネス面でも感じています。
今回は後世の起業家やピッチ能力を飛躍的に上げたい方向けに、スタートアップピッチに向けて何を考え、何を準備したのか?について記述していきます。
自社のビジネスにはあまりメリットのない記事なので、土日の趣味として書いています・・・笑。是非シェアやいいね!をお願いします。
勝つことを明確に意識した準備をする
物議を醸す可能性のある表現かも知れませんが、
スタートアップピッチは出るからには負けてはならない
ということです。当然ビジネスモデルを公衆の面前で説明するのですから、競合に情報が出るリスクも覚悟しなくてはなりません。ならば出るなら競合を突き放すためにも、まずは勝つべきです。
近年のスタートアップピッチはPR・採用活動に繋げるための場であり、決して出場することに意義があるような場ではなくなってきているということがあります。
そして、その効果を享受できるのは優勝チームである。ということが挙げられます。優勝チームはメディア速報やSNSで大々的に宣伝を行うことができます。
私もシード期から数多くのピッチに出てきました。
残念ながら1位を頂けなかったピッチもありました。1位を頂けなかった場合は明らかに反響が優勝時に比べると少ないことを実感しています。
この中で最も熾烈だったのはIncubate Camp13thで、470社を超えるエントリーからトップを頂きました。
ピッチは仕事だと割り切って勝ちに拘れるか?この執念がピッチの熱量にも影響してきます。まずは覚悟を持ってエントリーしましょう。
誰に向けてピッチをするのか?を理解する
当たり前すぎるものの、意外と皆さんやっていないのが、誰に向けてピッチするのか?を理解してピッチを構築することです。
主に以下のような属性の方が審査員になることが多いです
実はこの3つの属性それぞれで評価ポイントが変わってきます。
※いらすとやでワンピースの絵が無料公開されているので利用しました!
VCやエンジェル投資家の方はとにかく成長性、参入障壁を築くことが可能なビジネスモデルか、チームは強いか?といった部分に注目します。職業としてスタートアップの評価をし続けているため、小手先のTAM(Total Addressable Market、アクセス可能な市場規模)計算や構造化されていないエモーショナルな説明は刺さらないでしょう。
とにかく短時間で自社ビジネスとチームの強さを示す必要があります。
自分の会社で使いたいと思えるか?エモーショナルな面で応援したいと思える熱量を感じられるか?を重視されているように個人的には感じます。
企業の役員レベルを務められるような方は、実用性に大変厳しく土地勘もあります。逆に土地勘がないtoCビジネス等においては、この人物はデカイ事業を成し遂げられそうなのか?を強く意識して審査するのではないでしょうか?
コンテストによっては、大学教授や著名人が審査員になることもあります。この場合はとにかく誰でも理解できるように、何故イノベーションなのか?を明確にすることが重要です。
2019年ごろにホリエモンやオリエンタルラジオのあっちゃんにログラスの説明をしたことがあるのですが、「何がイノベーションなの?SaaSって何?」という状態で、中々評価されづらかったなーという経験もしました。
ちなみに、面白い調査をCoralというVCさんが実施しています。
国内では以下の4コンテストがメジャーですが、TechCruch・IVS・B-DashはVCが主催しているイベントですので、比較的投資家視点。ICCは比較的事業側の目線で評価されることが多くなっている気がします。
VC目線という意味では私が出場したIncubate Camp 13thはVCの国内の超大物が集う会でした。(お世話になったので宣伝しておきます)
※14thがまもなく開催のようですね!!
ピッチは準備がすべて
ピッチは準備がすべてです。
本番にどんでん返しもなければ、基本的に自分を邪魔するものはありません。ピッチはスポーツ等と異なり、自分との戦いの要素が大きいです。
しかし、この準備というのは練習量が多ければ良いというものではありません。ピッチの準備は主に以下のPOINTに絞られると考えています。
1つ1つ説明します。
そもそも事業で結果を出しまくる
元も子もないのですが、中身が伴っていない状況では、どうやっても説明するものも軽薄なものになります。
全身から漲る自信みたいなものが出てこないので、このフェーズなのであれば著名ピッチには出場しないことをオススメします。
説明するストーリーを作る
これめっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ大事です!!!
絶対スライドから作り始めないで下さい。
それをやってしまった瞬間に勝負に負けています。
ストーリーは何でもいいのですが、まずは大まかにスライドタイトルになるような1センテンスを整理します。
あくまで主観ですが、スタートアップピッチにおいては以下のような点を盛り込むスタートアップが多いように思います。
これらのPOINTの中から、自分の会社はどのPOINTが強いのか?をしっかり意識して選択して下さい。
例えばログラスのピッチは以下のPOINTを選択しています。
自社がアピールしやすいPOINTを選択して、戦略的に価値を訴求することが大事なので、例えば大先輩SmartHRさんはチームスライドを敢えて出さない等の選択をしています。
また、理解しやすい構成がとても大事です。
こればっかりはセンスになってしまうのですが、基本的には
上記のPOINTを抑えながら、自社の魅力をいかに効率的に訴求できるのか?これに尽きるかなと思います。
感情グラフを作る
これもかなり重要なのですが、感情グラフというものを必ずログラスではピッチ前に作ります。
感情グラフ作成は、こんな感じで審査員や観客の方がどんな気持ちでピッチを見るのか?を創造しながらマッピングする作業です。
悲しい感情や怒りの感情、喜びの感情や熱気といった様々な感情を呼び起こし、人々を感動・・・つまり感情を動かすことこそが、ピッチの意義です。
ただビジネスを説明するだけなら社長がわざわざやる必要はありません。
人々を高揚させ、熱気に包まれるような空間を創り出せなければいけません。
そしてこれが非常に得意だったのが、Appleの創業者であるジョブズ氏です。
動画2:46ごろの
「iPod!!!! Phone!!!! and... Internet communicator and an iPod!! a phone!! 」
このシーンの盛り上がりは異常です。こんなことを同じ人間ができるのかと驚愕しませんか?
プレゼンテーションやピッチはもはや劇のようなものです。
必ず、どこで感情を呼び起こすのかを計算しましょう。
スライドを丁寧に作る
ストーリーと感情グラフができたら、いよいよスライド作成スタートです。
説明したい内容が凄く沢山あることは分かります。しかし、多くのスタートアップピッチは3~7分程度の時間に限定されています。
例えば、直近のICCは7分です。たった7分のピッチですので、スライドを20枚以上入れ込むことは辞めたほうがいいでしょう。
そしてスライドは1POINT1スライドを徹底して下さい。同じスライドでストーリーを複数語りたい場合は、アニメーションを使うと効果的です。
最近のPPTは以下のように同じスライドの中でコンテンツだけを移動させて非常に見やすいアニメーションを作成することもできますので、ぜひ活用してみて下さい。
※以下のように画面外にコンテンツをおいてスライドすることができる
また、7分であれば420秒の間に人間が20枚のスライドを処理するということになれば、大体1枚21秒・・・これが限界なのではないかなとは思います。
また、スライドは可能な限りシンプルにしましょう。
文字が多いスライドは絶対に頭に入りません。なるべく大きい文字、わかりやすい図式化等を意識しましょう。
以下はログラスのピッチのスライド例です。
課題関連のスライドは黒背景にすることで、負の感情を前面に押し出しています。
画像はShutterstockが一番良いです。いい素材が有料ですが、沢山あります。
また、スライド作成はいきなりすべて作るのではなく、最初は手書き等を写真に撮影してPPTに貼るのをおすすめしています。
例えば上記のスライドは元々こんな手書きでした笑
手書きをPPTに貼り付けるとこんな感じ。
こうすることで、スライドが雑でもピッチ練習を開始できるというメリットがあります。
尚、スライド作成をする場合はデザイナーに協力してもらうことをオススメします。やはりピッチの場のスライドは洗練されている方が認知がしやすいので、その道のプロに事前に相談を投げておくことが肝要です。
実際の練習を行う
後は練習、録画、聞き直し、練習、録画、聞き直し...の無限ループです。
私はピッチのために、
100回×7分の700分間、つまり11時間40分以上は練習します。
主に意識するPOINTは以下です。
以下の画像は、前日に練習して自分を追い込んでいる様子です。
まず話速はかなり大事です。遅すぎても速すぎてもダメです。
また、意識的に間を作ることを意識しましょう。マシンガンのように内容を詰め込まれて理解できる人間は少数です。
聞き手フレンドリーな速度や間を意識することで、飛躍的にピッチが進化します。
これ以外に皆さんできていないんですが、スライドをめくるタイミングを完璧に練習する必要があります。
以下の動画が実際に私がピッチしている動画になります。
例えば1:33:59あたりを見て頂きますと、
のご説明しますのタイミングでスライドをめくっています。
1:38:15あたりでは
のどんどん出てきてしまってましての部分でスライドをめくっています。
これはかなり意識して練習しています。
どういうことかと言いますと、次に何の説明が入るのか?を観客に予期させるフレーズを入れた数秒後に対応するスライドが出てくるようにしているということになります。
基本的に、あなたの話を初めて聞く審査員や観客からすれば、ピッチというのはかなり集中していても、内容の半分も理解することができません。
とすれば、相手の処理をしやすいように、
●●の内容が次に来ますよー!!
というのを明示しながらピッチを進めることは比較的効果的であると思っています。
実は、これもジョブズ氏の技です。
iPhoneのスライドを出してからiPhoneです!!と言うのではなく、
もうね・・・凄すぎますよ。
声のトーン、感情の込め方。どれを取ってもジョブズ氏は素晴らしい。
それだけ人を惹きつける素晴らしいピッチを彼は体現し、iPhoneを単なるデバイスから世界のインフラにまで押し上げました。
最後は感情です。とにかく声のトーンと感情を込めて下さい。
その意味では、ICC KYOTO カタパルトグランプリ 2018で優勝した株式会社オリィ研究所の吉藤さんは素晴らしいと考えています。
このピッチは一朝一夕では真似できませんが、自分のピッチがいかに無味乾燥としているのかを反省するきっかけにはなると思います。
この動画は、ビジネスピッチとしては異例の153,318 回もの再生回数を誇っています。(凄い)
それでもビジネスは続いていく
ここまでお読み頂きありがとうございました。
お陰様で、私達ログラスは数多くのピッチにて表彰を頂き、一部の方からは"賞ナメ"さんと呼ばれております。
しかしながら、ビジネスは関係なく続いていきます。
私達スタートアップが向き合うべきはお客様であり、メンバーであり、投資家であり、世界です。
決して慢心することなく、前に進み続けます。
是非、ログラスにご関心のある方がいればご連絡下さい!!