#9 物流倉庫運営は、多様なのか?
きっかけは
とある方との話の中で、「大手物流会社の倉庫運営と中小の倉庫運営は、違うんだ。大手の話をされても困る。」というような会話になりました。
本当にそうなのかどうか、賛否両論になるかと思いますが、私的な考えを書いていきます。
物流倉庫の基本を考える
物流倉庫の基本的な機能は、大手、中小問わず変わらないと思います。
入荷、在庫、出荷といった基本機能は、変わらないと考えているからです。
完全に別物というところでいうと、特別なハンドリングの有無、これは、冷凍冷蔵だったり、危険物だったり、流通加工だったり、長尺品や重量物を専門に扱う等を指します。ここでは、DC/FC型の物流倉庫のお話をしていきたいと思います。
何が違うのか
物流倉庫の役割は、考え方で異なる
様々な業種の物流倉庫を見させていただいて、小見出しのタイトルにたどり着いたのですが、その企業が物流倉庫に対して、どういった事を最も大事にしているのかということで、違いが出てくると思います。
私が考える違いは、T.I.Q. (Throughput, Inventory, Quality)で分類できると思います。なぜ、そう考えるのかというと、KPI設定したときに異なるKPI設定になるからです。
Throughput型の場合
入出荷能力を最大にすることを目的とした場合、KPI設定は、入荷~在庫、在庫~出荷のサイクルタイム短縮や生産性等が設定されることになると思います。
メリットの大きい業種は、EC特化やEC比率の高い倉庫になるかと思います。
このタイプのメリットとしては、サイクルタイムの最小化でオーダー締め切りを後ろにすることができる事、在庫までの時間が短いため、サイト上での販売タイミングが早くなるといった事があげられます。
一方、デメリットとしては、在庫の積み上げをしてしまうと、生産性が悪化してしまうため、階高の高い倉庫内部空間を十分に活用できないということがあげられます。
このタイプで自動化する場合、GTPがチョイスされるケースが多いと思います。
Inventory型の場合
在庫能力を最大にすることを目的とした場合、KPI設定は、在庫をどれだけ積み上げられるかという在庫密度が設定されることになると思います。
メリットの大きい業種というか、以下のタイプが当てはまるかと思います。
普段、出荷が少なく、ある一定の時期に出荷が集中する。通常は、ひたすら入荷、在庫を繰り返している業態、少品種多ロットをメインに扱っている業態等が当てはまるかと思います。
このタイプのメリットは、倉庫空間を最大限に活用した在庫を持つことに尽きます。そうすることによって、固定費を最小にすることができるからです。(ここでいう固定費は、倉庫賃料)
デメリットは、在庫回転数が高いものに対応すると、人件費等のコストがかかる。多品種小ロットになった場合、在庫密度が最大にならない等があげられます。
このタイプでの自動化は、パレット型ASRSやフォークリフトのAGV化等があげられます。
Quality型の場合
あまり聞きなれないタイプですが、実際に倉庫見学させていただいた所でKPI等を伺ったところ、KPI設定は、誤出荷率でした。バックグランド等の教えていただき、確かにそのようなKPI設定は、ありだなと思いました。
カスタマーファーストのKPI設定です。(誤出荷によるカスタマーへの迷惑をなくすことが物流倉庫の使命)
このタイプのメリット、デメリットを記述するのが、ちょっと難しいです。ただ、誤出荷しないためのチェックが複数回行われているので、サイクルタイムの短縮や生産性向上といったところは、難しい課題かと思います。
自動化のポイントは、検査に費やしている時間が多いことから、画像認識による照合等使えそうな技術は、ありそうです。
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