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【非応募】140字小説季節の星々【過去のお題】

①(140字小説季節の星々 秋のお題「長」)

もう泣いてしまった。成人式はまだ先。今日は振袖で写真を撮るだけなのに。長襦袢の姿さえ、七五三の時とは違った。
(いつまでも子ども扱いして、ごめんね。)
思えば、夫に似て長身の娘は小学校の時には私を追い越していた。どうか、私の幸せも追い越してね。そうしたら、私ももっと幸せになるよ。


②(140字小説季節の星々 夏のお題「高」)

「水を買ってくる!」
と彼は言い、自動販売機へ急いだ。この後は下山だろう。軽い高山病なのに、折角の富士山5合目旅行が台無しだ。彼に申し訳ない。鎮痛剤を探してダッシュボードを開けると、そこには小さなリングケースがあった。彼が戻る前に寝たフリをする。けど、頬が緩むのを隠せるだろうか。


③(140字小説季節の星々 春のお題「明」)

そこに行ってから、僕は変わってしまった。あの川の事しか考えられない。最も透明度が高いという翠玉色の川を、そのままカプセルに閉じ込めてずっと持って眺めていたい。それが叶うなら、僕は何でもするだろう。
そう思っていると、突然、カプセルを持った仙人が現れた。
「何を叶えてやろうか?」


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茶山茶々子
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