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桐壺登場 その二十四 女御更衣あまたさぶらいたまいけるその時③(まとめ)を語る

その二十四 女御更衣あまたさぶらいたまいけるその時③(まとめ)を語る

 いろいろありましたね。ではその時をまとめてみましょう。

 その時① 光孝帝、初めて賜姓源氏の親王復帰の道を切り開く。(コレ!)
 その時② 宇多帝、いったん源氏であったとしても天皇になれる前例となり、さらに、更衣腹皇子でも母の身分を女御に格上げすれば立太子できる道を切り開く。(ココ、重要!)
 その時③ 醍醐帝、更衣腹でも第一子は親王。(コレ!ココ、重要!)

 以上があなた方の歴史年表上に見る女御更衣あまたさぶらいたまいける時です。一条朝に更衣はもういません。ただ風が吹いています。風が吹いて、誰かがいるだけです。
「…もしも、あの時」
風の中で誰かのそんな思いから、いとやんごとなき際にはあらぬがすぐれてときめきたまう怪物が誕生した。だから桐壺更衣の物語にはその風が確かに吹いていて、それであるならそれであり得る可能性へと自らを自立して向かわせた。そして私は死んだ。ゆえに死んだ。
 桐壺更衣の第一子は親王になって然るべきなのです。にもかかわらず臣下にくだった。これは先例を違える異例の決定です。
 何故?何のために?まさか?
 そう。おわかりでしょう。でも誰も気づいていない。その意図に誰も気づいていない。
 意図?
 意図!
 誰かがそう意図している。その影に誰も気づかない。ああ、また、風が吹く!

 はい、というわけで、光る君、源氏です。はい、それでおっけーです。
 このようなルール無用の荒療治によって私、平素の落ち着きをとりもどしました。長々と大変失礼いたしました。
 みんな、大丈夫?無事?ついてきてる?じゃあ、「光る君は源氏姓を賜りました」のところに戻るね。
 それにしても凄かったですね。何がって歴史が。ここの向こうのあなた方の歴史が。平安セレブのリッチなイマジネーションも狼狽えるばかりでしたわ。さすが、「あの右大弁が怨霊となって祟りまくって人々を恐怖に陥れ、社会機能を麻痺させて、その挙げ句に神様になって全国的に祀られまくって、御守が飛ぶように売れて…」とかいう荒唐無稽、いや奇想天外、いや豪華絢爛、スケールが違います。文学とはあなた方です。ところであなた方、右大弁に一体、何をしたの?
 え?私たちの右大弁はその後、どうなるのかって?右大弁はずっと右大弁です。
 でもね、スポットライトの当たらないところでも設定はちゃんと時を刻むのね。手長足長が言っていたわ。彼は琵琶法師だって。僧になって琵琶を奏でて全国を旅するんだって。大きな焚き火をたいて彼は彼の音曲を歌い尽くすのだって。素敵ね。でもそれはまた別の物語。
 あ、ついでにここで問題です。光る君の命名は何でしょう。源◯◯、気になるでしょ?でも教えない。例の陰陽師が名前には呪が(以下略)

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