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地域の"音"を集めて発信し、地域のUターンに繋げる取組

音と人の記憶



皆さんは、音楽や環境音によって過去の記憶が呼び起こされる経験をしたことはありますか?

私の場合、スピッツの曲を聴くと、小学生の頃に自分の部屋でミニ四駆を作って遊んでいた光景が蘇り、懐かしい気持ちになります。

小学生の頃、私はミニ四駆に夢中で、お気に入りのマシンを改造しては自宅のコースで走らせていました。そんな時、6歳年上の兄が隣の部屋でいつも音楽(爆音)をかけていて、無意識のうちにスピッツの曲を浴びて育ちました。
隣の部屋から漏れ聞こえるスピッツが私にとっては日常生活の一部となっていたのです。

その他にも、夕方町内で鳴っていたチャイム、実家のストーブの上に置いていたヤカンが鳴る音、野生のカナブンが飛ぶ時の羽音(これはトラウマです笑)など、過去の記憶と密接に結びつく音が様々あります。

皆さんにも、特定の楽曲や環境音が懐かしい思い出や風景を呼び起こすことがあるのではないでしょうか?

今回は、新潟県小千谷市様と共同で進めている地域の音を活用したUターン施策の取組についてご紹介させていただきます。

新潟県小千谷市での「音」を集める取組

今回地域の音を集めるフィールドとして、新潟県小千谷市様とご縁があり、一緒に取り組みを進めさせていただいております。

小千谷(おぢや)市は新潟県のほぼ中央に位置する場所にあり、ユネスコ無形文化遺産である「小千谷縮」や、江戸時代から養鯉が行われていた「錦鯉」などが有名な地域です。

音と人の記憶が深く結びついてることを活かして、小千谷の様々な音を起点に故郷を思い出すきっかけを作り出すことはできないだろうか。そのようなことを小千谷市様にご相談させていただきました。

地域の方々が大切にする年に一度のお祭りの音や、通勤通学で乗る電車の発着音、夕方のチャイムなど、日常生活に溶け込んでいる音などを収集・発信することで、小千谷を離れてしまった方々に故郷を思い出してもらうきっかけになるのではないか、との仮説のもと、将来的なUターンに繋げる実証的な取組をスタートしました。

真夏の小千谷駅。小千谷駅のホームから聞こえる音も録音させていただきました。
小千谷駅前にある錦鯉

昨年の夏、ミライ研のメンバー数人で、小千谷市で毎年8月に開催される”おぢやまつり”と越後三大花火の一つで9月に開催される”片貝まつり”に参加し、お囃子や花火の音などお祭りに関連する様々な音を収集してきました。
本記事ではその時の様子をご紹介させていただきます。

”おぢやまつり”での音の収集

おぢやまつりは、「からくり万灯パレード」、「大花火大会」が有名で、「大花火大会」は約7,000発の花火が打ち上げられる県内屈指の花火大会です。

お祭りは夜だけでなく、昼間から様々な催しものが行われます。
こちらは、小千谷太鼓「鼓陵会」の皆様が演奏していた時の写真とその時の音源です。

小千谷太鼓「鼓陵会」の皆様の演奏

音源:小千谷太鼓「鼓陵会」の演奏

夜になると煌びやかで個性的な万灯があたりを周回し始めます。
万灯に乗っている方々の元気な掛け声とお囃子が鳴り響き、お祭りモードが高まります!!
当日は、9月にオープンした小千谷市のひと・まち・文化共創拠点「ホントカ。」の屋上をお借りして撮影・録音をさせていただきました。
からくり万灯のお囃子と花火の音が重なった音など、”おぢやまつり”ならではの音が収集できたと思います!

煌びやかな「からくり万灯パレード」の様子です。様々なからくり万灯があたりを周回します。
花火も撮影したのですが、うまく撮影できず。。次回はリベンジ!

音源:おぢやまちりのお囃子と花火

”片貝まつり”での音の収集

9月には、正四尺玉の花火で全国的にも知られる片貝まつりに参加してきました。片貝まつりの花火は浅原神社への奉納煙火で、企業からの協賛ももちろんありますが、個人からの協賛が多いことも特徴です。
花火打ち上げの際には、一つ一つの花火に込められたメッセージが丁寧に読み上げられます。そのアナウンスも片貝の花火の一つ特徴になっているようです。

音源:煙火協会奉納花火

写真は花火の打ち揚げ成功を祈る”筒引き”と呼ばれる伝統的な行事です。
かつてはこの筒で花火を打ち揚げを行っていたようで、現在では神社に祭つられてます。
当日は、若者が中心になって、巨大な筒を元気よく引っ張っていて、見ているこちらもお祭りモードがぐんと高まっていきました。

元気のよい掛け声とともに筒を引く様子
間近で見るとほんと大きかったです

片貝まつりでは、様々な場面で”木遣り”という唄を聞くことができます。

木遣りは本来、その名のとおり大きな材木などを運ぶ時、力を合わせる為の掛け声から始まったもので、歌詞が少なく、囃子が多いほど古いといわれています。

片貝の木遣りと古式玉送り(かたかいのきやりとこしきたまおくり) - 小千谷市ホームページ

木遣りは、花火の玉を浅原神社へ奉納する”玉送り”でも唄われます。玉送りの参加者はお揃いの印半纏を着用し、町内を門付けして町内を練り歩き、神社に花火を奉納します。

伝統芸能保存会の方々の古式玉送りの様子


大勢の若い方々が真剣に歌う木遣りは、その迫力に圧倒されるとともに、ノスタルジックな気持ちにもなり、胸にこみ上げるものがありました。

浅原神社で若者たちが木遣りを唄う様子

音源:浅原神社で唄われた木遣り

おわりに

今回は音に着目した取組を紹介させて頂きましたが、お祭りの雰囲気を感じていただけましたでしょうか?

その他の収集音源についても、また別のタイミングでアップしたいと思ってますので、興味を持って頂いた方は、ぜひ本アカウントをフォローしていただき、お待ちください!

おまけ:音の収集に使った録音機器

今回ミライ研としては、初めての音にフォーカスした取組だったので、まずは機器の購入から行いました!

購入した機器は以下となります。
〇TASCAM(タスカム) Portacapture X6 32bitフロート
Portacapture X6 | 32ビットフロート録音 6トラックポータブルレコーダー | TASCAM (日本)
→音楽関連ド素人の私はこれまでiPhoneくらいでしか録音ということをしたことなかったですが、専用の機器で録音すると全く違いますね!

〇ZOOM ズーム ヘアリーウィンドスクリーン WSU-1
→風よけがないと、音割れしちゃうんですね。知らなかったです。テレビのロケとかで、カメラマンの隣の人が持っているマイクにはふわふわがついているなと思ってましたが、必須アイテムなんですね。今回よくわかりました!!

あとはヘッドホンやイヤホン、SDカード、電池を購入しました。
Portacapture X6用の電池は予備たくさん必須でした。
想像以上に電池を消費するので、多めに予備は持っていくべきです!

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