「自分」になれるのは「自分」だけ 【天元突破グレンラガン 11話】
「アニキのようにはなれない」
そう悩み続けたシモンが自分の在り方に気付けた場面。
「俺は俺であって他の誰かになることはできない」
ここに大切な考え方があるように思う。
シモンがカミナという「憧れ」と自分を比較して苦しんだように、
「憧れ」から引き算で自分を測ると、
自分に対する嫌悪感が増してゆく。
自分もそうだった。
誰かに対する憧れが強くなると、
「あの人に比べて自分はなんてダメなんだろう」と
感じてしまうことがよくあった。
「役割」についても似たようなことがあった。
キャプテンを引き継ぐ、
リーダーを引き継ぐ、
責任者を引き継ぐなど、
前任がいた役割を引き継ぐときに、
「前の人だったらもっとうまくやれていたかも」とか、
「どうして自分は同じようにできないんだろう」と苦しんだ。
こうやって誰かからの引き算で自分を測っていくと、
あの人が同じ道の遥か先を歩いているような感覚になって、
「できなさ」や「足りなさ」ばかりに目が向く。
だが、あるとき気付いた。
そもそもが違うのだ。
「俺」と「あの人」は違う。
なろうと思ったって「あの人」にはなれない。
でも、それは「あの人」も同じで、
誰も「俺」にはなれない。
俺の憧れるあの人にしかできないやり方があるように、
俺にしかできない、俺だからこそできることがあるはずだ。
やるべきことは、
あの人の道の上であの人の影を追いかけることではなく、
誰も足跡を付けていない真っ新な土の上に、
自分の道を見つけ出すことだ。
そして、
その自分で決めた道をとにかく進んで行くことだ。
他人から馬鹿にされていた「穴掘り」という原点に、
自分の生き方を見出していったシモンは、
この場面を境に心も技も急速に強くなっていく。
「自分」に気付いた人間は本当に強い。
その過程にある「誰かになる必要はない」という考え方を、
一つの壁を乗り越えたシモンの言葉から教えてもらった回だった。