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授業中にタブレットでゲームに興じる子
授業中に教師の指示を無視して、勝手にタブレットを操作する事例が相次いでいる。身近なところでは、「勝手にタイピングの練習をしている」という話をよく聞く。
タイピングソフトというのは、上手に素早くタイピングできれば得点が上がるといったようなゲーム性が高いものがほとんどで、子ども達の多くは「タイピングが上手くなりたい」というよりも「高得点を取りたい」という欲求で動いているに過ぎない。
こういった現象を、教師は「授業中の態度」といった側面から考え、問題視しているが、果たして本当の問題点はそこなのだろうか。
例えば、教師が「教科書を開きます」といったような指示を出したときに、タブレットを開いてログインしてしまうような子がいたとする。この時に教師は「依存症」を疑っているだろうか。
かつて私のクラスに、ゲーム依存症に苦しんだ子がいた。6年生になってしばらくの間は普通に過ごしていたのだが、6月ころに授業中に寝てしまうことが頻繁に起こるようになった。時には目の下にクマを作って登校することもあったため、保護者に相談。結果分かったのがゲーム依存症だったのである。
きっかけは、6年生になったということで、兄弟の部屋を分け、1人部屋になったことであった。彼は消灯後、一人で部屋に入った後ゲームをするようになった。なんと朝の3時までやっていたのである。
当然翌日に睡魔が襲ってくるのだが、ゲームを始めると目が冴え、気づけば3時。これが毎日のように繰り返されていたのである。
これを克服するためには、病院にかかる必要があった。ゲームがあればしてしまうのだから、強制的に切り離す必要があったのである。
この事例からも分かるように、教師が「タブレットを開きなさい」というまで我慢できないというのは、こうした依存症を考えておく必要があるのだ。
先日JR線に乗って周囲を見回すと、車両の9割以上の人間がスマホを触っている。昔のJRはワイワイガヤガヤとした会話に溢れ、時にはうるさいくらいだったのだが、今や誰も喋らない。シーンとした中、ひたすらにスマホを触っているのである。
こうした問題は子どもだけではなく、むしろ大人の方が酷い状況なのかも知れない。