LOCUSTコンテンツガイド(書籍5)〜別役実『別役実のコント教室 不条理な笑いのレッスン』〜 谷頭和希
昔から、いろいろな人が「笑い」について書いてきた。でも、ちょっとがっかりしてしまうのは、そうした「笑い」論そのものがあまり笑えないということが、よくあるからだ。書いてあるものが笑いを誘わない文章が、笑いについていろいろ言っていても、どこかしら説得力に欠けてしまう。
そんな中出会ったのが別役実が書いた『別役実のコント教室 不条理な笑いのレッスン』。これは、劇作家の別役のセミナーをまとめたものであり、「コント」についての別役のレクチャー、そして実際の提出作品の評価を通して、「コント」とはなにか、「コント」をどのように書くべきかがまとめられたものである。
「コント」をどのように書くか。一流の「コント作家」は素人となにが異なり、どのようなテクニックを持っているのか。別役は「ストーリー思考」や「プロット思考」、「演劇の時間」といったオリジナルの概念を説明しながら、ある一つのアイデアがコントとなっていく、その過程をくわしく説明している。
別役のコント観は、次の二つの単語で表すことができる。
「爆弾と死体」
ここから先は
1,112字
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?