「ロカストボイスのコンセプトがよくわからない」という声が上がってると人づてに聞いた。最初は直接出会って話すことの意義を強調するつもりだったのに、コロナ禍によって密室で会うことが難しくなり、しかも我々はZOOMの便利さに気づいてしまった。別のコンセプトを、明確な座標を示さなくてはいけない。今回のロカストボイスはそのような問題意識の中、十分な答えが用意できないまま収録された。

BUMP OF CHICKENについて今語ることに、さしあたり必然はない。ただ、彼らについてなんらかの言葉を発したい欲求を持て余した人間が、たまたま複数名近いところにいただけだ。ちょうど20年前の夏にバンプに取り憑かれ、その後違和感を覚えて大きく距離を置いた伏見瞬。「天体観測」で強い衝撃を受けて以降、彼らからなんらかの霊感を受け続けている北出栞。ラジオ局に勤めていた父からバンプを教えられ、ライブを何度も目撃し、その存在感を不思議に思う吉田ボブ。それぞれの個人的なバンプ体験を口走りながら、今（「イマ」？）の世界（「セカイ」？）との交点を見出していく三人のトーク。BUMP OF CHICKENはイノセンスの価値を根本から問い直すラディカルな音楽家集団か、それとも現実の具体性を拒否して安易なイメージを称揚する俗流ファシストか？個人としての矜持を賭け、時に鋭く対立しながら、答えの辿りつけなさを否定しない対話の時間。当事者でもあり観察者でもある矛盾した言葉（思うに、それこそ批評の言葉ではないか？）が、BUMP OF CHICKENの見えない影を映し出す。

話はいつまでも尽きず、結果3時間越えの大長編に。第一回は３人のバンプとの出会いから、震災以降スタジアム型の音楽を志向することになった変化の理由について語ります。生まれ変わる予感を漂わせるロカストボイス第10回、是非お楽しみください。

（参考）
伏見瞬のBUMP OF CHICKENプレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/3lqMV933dhTMfNfuprEgFG?si=K-V23SobREa59Cxlp-Jkxg

北出栞のBUMP OF CHICKENプレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/4PK5EzWNLL2CSwkQJBLFKt?si=GCiYwlnDTfGZYwWfgTLcAQ

吉田ボブのBUMP OF CHICKENプレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/3Bk6jrqjMwlnDgwqfmg3Gw?si=PF75Fh4JSvWtozLK42lnzQ

※第一回は無料配信です