森見登美彦「山月記」を読んで
あれから何年経っただろうか。
高校の3年間を棒に振る愚行とも言える芸大受験を盛大に失敗し、この世の全てを呪いながらアスファルトを噛んで過ごした福岡での1年間は、芸大への再受験のストレスと落伍者のレッテルとの間で、自分が何をしたかったのかという目的を見失ったまま、日々の営みは悪臭を放ちながら鼠色に凝り固まり、まるで将棋の終盤戦における桂馬のように深く私の精神に楔を打ち込んでその動きを完全に封じた。
我が子の自立と成長を願って一人暮らしを快諾してくれた両親に対する私の解答は、