読書ノート5-1
感想概要
2021.8.27
『魔法の世紀』落合陽一2015 PLANETS
現代アートへの姿勢が最も興味深かったテーマだった。コンセプチュアルアートをはじめとした「文脈アート」への批判する一方で、科学技術と芸術表現は一体化していくべきではないかと議論を展開させていた。また一方でアートが文脈に頼らざるを得ない現状を嘆いていてもいた。がんじがらめの現状で飛躍していく表現だということが作品に新しい印象を与えてくれた。
・表題『魔法の世紀』という言葉の真意を理解し納得した。またこれはPLANETS編集長の宇野常寛さん発案らしい(本書あとがきより)。
・今後の芸術表現は高度な科学技術を持つ人しかできなくなるのではないかと思うほどメディアアートが切り開く人類の創造性は私を刺激した。実際は著者は「人間の原理的な驚きや感動」という作用をとても重視していたし、私も絵画や彫刻が消えゆくことはないだろうと思っている。
私は現代アートに興味があって先日は村上隆の著作を読んだばかりだった。現代アートが私の心をひどくかき乱して粘着してくる理由を探っていたが、これをめぐる議論に一石投じてくるような、今後の美術界についての議論の流れを知ることができて非常に好機であった。
(読書ノート5-2へ続く)
【基礎知識】「メディアアート」とは表現媒体そのものを創る試みこと(主に電子技術を使用)。例えば油絵の「メディア」は油絵具とキャンバスである。また表現された絵そのもののことは「コンテンツ」と呼ぶ。