読書ノート3
2021.8.23 「芸術起業論」村上隆 幻冬舎
村上隆は芸術を、極めて営業的に経済的に実践をした日本人だ。本書の内容は彼の制作の方法論と、そのせいで味わってきた苦しみが凝縮された一冊となっていた。
彼作品は少年ジャンプの漫画家育成システムや狩野派、仏師たちなどのようにチームで分業をして作品作りをするところに特徴がある。こう考えると世界の最前線で活躍する彼の分業制作が今に始まったことではないということが少し不思議に思えては来る。
彼の作品の中でも強い印象を与えるのは花のキャラクターだが、このキャラクターの生い立ちを知って愛らしさを感じた。というのも、彼が芸大受験のために2浪していた時期、毎日花ばかり描いていたら、だんだんと自分にとって意味のあるモチーフになったというのである。映画に出てくる群像を表したいとも言っていたような。。。そのような作品の背景は大変興味深いものだった。
・世界で日本人が活躍することには様々な困難がある。しかしあえて日本人として制作することにこだわりを持って果敢に挑み続けた姿勢に感嘆した。
・日本の持つコンテンツの武器としては「アニメ&オタク」を上げなくてどうする!と強い語気で言い切っていたところは小気味良い心地がした。それは私が日本のアニメ、漫画、インターネットカルチャーなどを心から愛しているからに他ならない。サブ的なものにとどまらない本当の日本の実力としての「アニメ&オタク」コンテンツを肯定したい。