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LOCAL CAREER SHIFT-1stシーズン- 第5回「山奥の空き家を使って ニート支援」を開催しました!


2021年6月25日(金)、LOCAL CAREER SHIFT-1stシーズン- 第1回「山奥の空き家を使って ニート支援」がオンラインで開催されました。トークセッションのゲストは、ニート支援を実施するconnectionの他、料亭の魚兵、株式会社燕三条の3社を経営する結城靖博さんです。現在の活動、活動のきっかけや大切にしている価値観、これから実現したいことなど、結城さんの経験と視点を伺いました。インタビュー後には対話の場を用意し、参加者同士で意見や感想を共有。各自のキャリア観を深めてもらいました。そのときの様子をお届けします!

<こんな方におすすめ>
・将来の進路選択に悩んでいる学生
・キャリアチェンジや将来のあり方を模索している社会人

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フリーランスのライター兼イラストレーターのヤマシタナツミです。LOCAL CAREER SHIFT(以下、LCS)のnoteライティングチームのメンバーとしてイベントレポートをお届けします!ゲストの結城靖博さんのテーマは「山奥の空き家を使ってニート支援」ですが、ニート支援事業に限らず地域の中で柔軟な発想で多様な事業を展開されています。そんなユニークなキャリアを持つ結城さんが歩んできた道のりはどんなものだったのでしょうか。イベントを振り返りながらお届けしていきたいと思います!


イベントプログラム

LCSは、ご参加いただくことで「自分の価値観をアップデートし、自分軸を持って主体的に生きる。その人たちが面白い社会をつくる。」ということを目指すプログラムです。プログラム構成は次のようになっています。

流れ


1.ゲストプレゼン:ゲスト本人より「現在」の活動をお聞きする。
2.ライフヒストリーインタビュー:ライフヒストリーチャートを活用した、ゲストの「過去」についてインタビューする。
3.トークセッション:ローカルキャリアのこれから、「未来」の可能性についてセッションする。
4.対話・質疑応答タイム:参加者同士で意見や感想などの思いを共有し、キャリアについて主体的に考える。参加者から、ゲストに聞いてみたいことを直接質問する。

プログラム開催の背景については以下の記事に詳しく書きましたので、気になった方は読んでみてください。



1.ゲストプレゼンから今の活動を知る


あらためて1stシーズン- 第5回ゲストをご紹介します。

<結城靖博さん>
GUEST | connection | 有限会社魚兵 | 株式会社燕三条 | 三条市

結城さんが経営する3社のうちconnectionではニート支援・内職斡旋・デザイン広告事業、有限会社魚兵では家業の150年続く割烹・料亭を営業、株式会社燕三条では燕三条エリアの企業を擬人化しそのキャラクター達でトレーディングカードを製作・販売する「匠の守護者」を運営されています。スタートから要素が盛りだくさんで、なぜこのようなキャリアになったかすごく気になります!

まず1つ目、割烹・料亭の魚兵を継いだのが28歳。工場向けのケータリングや出張料亭、仕出しテイクアウトや郷土料理の商品化を手がける他、着付け教室と街歩きなど自社内だけでなく街が活気づくような事業を展開されてきました。三条市の中心市街地拠点施設「TREE」のスタートアップとプロデュースも結城さんが手がけた事業です。

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2つ目のconnectionは、ニートやひきこもりの方に燕三条の内職を斡旋することからスタートした会社です。その後、支援を続ける中で長年ニートをしている方の中にはコミュニケーションを苦手とする方もいると気づき、収入を増やして街で暮らすことよりも、ほどほどの稼ぎで山奥でニート同士寄り添って暮らせる方が幸せなのでは?と思ったところから、山奥でニートの方が暮らせる仕組みを作ったとのこと。結城さんは「ニートの人に仕事を作る意味」とは何かを考え「ニートの人にとっての幸せとは何か?」という本質的な問いにたどり着き、その解決策を事業として形にされたのですね!

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また「ニートがケチャップを作ったらいいかな」と思ったところからスタートした「旅人のケチャップ」事業。こちらは「困っている人のためになる形にしたい」と考え、ケチャップが1本売れるごとに、ひとり親世帯の親子に1皿のオムライスがプレゼントされる仕組みにされています。こちらはフードバンクと協力して2021年2月からスタート。6月までの4ヶ月で200世帯の親子にオムライスを届けられたそうです。

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3つ目の株式会社燕三条はまちづくり会社。地域の青年団体としての取り組みとしてスタートした産業観光のコンテンツ「匠の守護者」を運営しています。「匠の守護者」は地域企業を擬人化したトレーディングカードを販売することで、地域の企業を知ってもらおうという企画。日本マンガアニメ専門学校の学生さんが燕三条の企業を取材してデザインし、株式会社燕三条で製造・販売されています。

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また株式会社燕三条では、「目の不自由な人がどうやって地域の情報を得るんだろう?」という疑問をきっかけに、音声メディアでのまちづくりにも挑戦。「お昼の放送委員会」と題してブログ記事のような音声メディアの発信をスタートしたそうです。結城さん、やはり問いの立て方と解決の仕方がすごく魅力的…!自分と違うタイプの人と出会った時「その人の目線」に興味を持ち、「その人にとっての解決策」を地域の中に広めていくって、なかなかできないことなのでは!と思いました。

そして「以上が仕事です。」とおっしゃったのでお話が終わるかと思いきや…お仕事以外の地域活動も盛りだくさんでした!

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・三条マルシェ 副実行委員長

・三条商工会議所青年部 副会長

・三条凧協会 副会長

・一の木戸清正組 組頭

・三条地区BBS会※ 会長

※BBS(Big Brothers and Sisters Movementの略)は,様々な問題を抱える少年と,兄や姉のような身近な存在として接しながら,少年が自分自身で問題を解決したり,健全に成長していくのを支援するとともに,犯罪や非行のない地域社会の実現を目指す青年ボランティア団体で,全国で約5,000人の会員が参加しています。  近年では,児童福祉施設における学習支援活動や児童館における子どもとのふれあい行事等も実施しています。  BBSの趣旨に賛同し,誠意と熱意のある方ならどなたでも参加できます。【法務省/保護局/更生保護を支える人々より引用】

なんという多動力!その活動の幅の広さにひたすら感心してお聞きしていました!なぜこんなにも色々な活動をされるようになったのでしょうか。ライフヒストリーチャートから探っていきたいと思います!

2.ライフヒストリーチャートから過去のキャリア観を学ぶ


「双子の兄がいたので、寂しくなくて、何やってても強気なこどもでしたね」という結城さん。中学生になって「わかりやすく思春期を迎えてグレました」というその頃は、「大人のことは嫌いだったけど、そんなに悪いことはしていなくて、友達と学校サボっている時間は楽しかったです」とのこと。ニートやひとり親世帯支援のために事業をしている今の姿からは想像がつかない思春期の姿ですね!そんな結城さんのキャリアをLCS発起人の山本が紐解いていきました。

Q.その頃の結城さんの自信を支えていたものって何だったんですか?

勉強もできないし、運動もできないし、良いところはそんなになかったんですけど「俺は自分のこと好きだな」と思っていました。自分に何かがあっても無くても、自分のことが好きっていう気持ちを持っていましたね。
Q.大人が嫌いだったわけはあるんですか?

家業が料亭で厳しめの家庭だったんです。うちは商売してるんだからちゃんとしろ、みたいな感じで、幼い時は「大人ってすごいな」と思っていたんです。でも中学生くらいになった時に「大人って完璧じゃないんだな」って気づいた時に、この人たちの言うことを聞くのが嫌だなと思って、思春期に突入しました。
Q.モチベーションが落ちた後、上がる時には何かきっかけがあったのでしょうか?

コンビニのアルバイトで笑顔で接客するのがとても苦手だったんです。だからコンビニの裏で冷蔵庫の中に入ってジュースを入れる仕事を多くするようにしていたんです。そうしたら当時の店長さんが「ありがとうね。いつも助かるよ。」と言ってくれて。

その一言にハンマーで頭を殴られたような衝撃があって、冷蔵庫のところで涙が止まらなくなったんですよ。その時に初めて人から感謝されて、嫌いになりかけてた自分のことを「やっぱり俺って最高じゃん」と思えて。人に感謝されるような生き方をしようって思うようになりました。

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Q.その後何がきっかけで勉強しようと思ったのでしょうか?

新聞が読みたい一心で高校と大学に行ったんです。コンビニで働いていた時大学生の子が新聞を読んでいるのを見て、格好良いなあって思って。それで俺も新聞読めるようになりたいと思っていた時に、「高校に行ったら新聞読めるようになるらしい」って聞いて仕事しながら通信制の高校に通い出しました。高校を卒業して新聞読んでみたら、読めるけど意味がわからなかったんです。そうしたら今度は「大学に行ったら新聞の意味がわかるようになるらしい」って聞いて。じゃあ大学に行こうと思って、大学に行きました。
Q.28歳で家業に入った頃はキャリアはどう考えていたんでしょうか?

当時は自己成長が大好物でした。大学に行きながら家業をして経営の塾にも参加して、結果も出していました。親父が60歳で家業を譲ると決めていたのと、双子の兄からは、「自分は厨房に入るから経営は任せるよ」と言われていたので、大学を出た後に社長になりました。
Q.30歳で異業種のconnectionを起業したのはどんな経緯で?

三条地区BBS会でニート・ひきこもりの方にアプローチするボランティア活動をしていた時に「彼らに仕事を出せる会社」を作りたいなと思ったんです。ちょうどその頃ニートだった友人が「就職活動しても決まらない」って言ってて。それで彼と一緒に、彼のような人の仕事を作れる会社を作ることにしました。
Q.ニートや紹介する仕事をどうやって見つけてきたんでしょうか。

これまでに活動の繋がりで若者サポートステーションや商工会議所と繋がりがあってそこから持って来れそうだなと思いました。仕事の方は商工会議所青年部でものづくりの内職を出してもらうように営業をかけていき、ニートの方を見つけるのは「今こんな仕事がありますよ」と若者サポートステーション案内をして、紹介してもらうという仕組みになっています。
Q.支援したニートの方の反応はどうでしたか?

仕事の内容よりも、自分が10代の時に中卒だったとか、専務が10年ニートやってたとか、うつ病の人もいるとか、そういう話を聞くと言葉の重みがあったというか説得力があったと思うんです。
だからニートの方達が「こういう人たちがいるんだから俺まだやれる」て思ってくれて「やってみます」って言ってくれるんだと思います。
Q.他の活動に展開していったのは、どんな考え方からですか?

東日本大震災があった時、コロナになった時に「商売を頑張ることより人の絆に繋がったり誰かのためになったりを大切にしたい」という思いが強くなったからですね。マイノリティとか言いたくても言えない社会課題に対してビジネスでアプローチしたいと思うようになりました。
Q.マイノリティの方を支援していく中で大切にしていることはありますか?

私が好きな言葉が論語と算盤(そろばん)なんです。社会貢献・ビジネスそれぞれ50%になることを意識しています。助成金が打ち切られても自走できて、やればやるだけお金が稼げて、儲かれば儲かるほど社会が良くなる仕組みを作りたいと思っています。


3.トークセッションから未来の可能性を学ぶ

ここ最近の社会の情勢ーコロナの影響等ーの中で、どんなことを感じていらっしゃるかを伺いました。

(結城さん)料亭はお座敷はなくなってヤバイってなりましたね。家業を継いで一番エキサイティングで楽しい経営者ライフを送っています。新しい価値を提供していかないとって世の中から言われている時で、今自分たちが持っているもの…食事やスペースで貢献できることはないかなって考えることができるのは楽しいかなって思います。

Q.これからの地域の可能性はどんなものだと思いますか?

豊かさとか自己実現は地方の方がありますよね。東京にいたらメジャーリーグみたいにプレーヤーがたくさんいて、その中で活躍したって言えないかもしれないけど、地方ならちょっと頑張れば結果が出るし。三条市役所に行って市長と話させてもらったりもできるし。地方だとチャンスを掴む可能性も社会問題もたくさんあるんです。
Q.これからキャリアチェンジしたい方にメッセージをお願いできますか?

流されるといいと思います。自分が20代後半にV字で上がった時期は自分が「新聞読めるようになりたい」という思いから勉強したり事業を良くしようと思ってやっていたんですけど、その後何か違うと思ったんです。それで人に流される形に変えてみました。映画のイエスマンみたいな感じですね。そうしたら成長のスピードも自己実現のスピードも早まったんです。

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たくさんの人と繋がりを持って生きる、結城さんらしいメッセージをいただきトークセッションが終了。参加者同士の対話の時間になりました!


4.対話を通じ、キャリアについて主体的に考える


今回もブレイクアウトルームを使用し、4,5人のグループに分かれて対話を行いました。簡単な自己紹介、ゲストの話の中で印象に残った言葉、自分が考えたことなどを自由にシェア。その一部をこちらでご紹介します。

<印象に残った言葉など>

・結城さんの自己肯定感の高さって、どこから来ているんだろう?ご両親はどんな育て方をしたんだろうと気になりました。
(結城さん回答)
両親は商売で忙しかったので「やりたいことがあるならやれ」っていう、割と放任な感じだったかなと思います。

・流される生き方っていいなと思ったけれど、本当にそれをしたら首が回らなくなるんじゃないかなと思いました。
(結城さん回答)
首が回らない時には「首が回らない」って言ってたし、回っていないのもありかな…なんて思っているうちに回ってきたり。周りの人も「忙しそうだな」って気を使ってくれたり、助けられながらやれるようになっていくこともあるし、首が回らない時も回らないなりに、その時の自分を受け入れてます。

・どうやって自分軸が確立されたんでしょうか。
(結城さん回答)
私の軸って変わるんですよ。新聞読みたいとか、イエスマンていう映画を見たとか。自分軸を持っているようで持っていないので、今は流されるって言っていますけど、明日からは目標を持ってやれよって言っているかもしれませんね。

最後に、結城さんからご参加いただいたみなさんに向けてメッセージをいただきました。「私は私で流されて生きていますので、皆さんは皆さんで楽しく生きて、みんなで地域を良くしていけたらと思います。何か手伝って欲しいことがあれば、私は『イエス』か、『はい』しかないので、なんでも聞いてください。

結城さんの柔軟な考え方・生き方に刺激を受け、勇気をいただいた第5回のイベントの幕が閉じました。終了時の集合写真がこちらです!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

今回で1stシーズンのイベント本編は終了ですが、今後も多様なキャリアを築いている人たちと繋がる機会を作っていきたいと思いますので、ご期待ください!

アグレッシブに働き方を考える皆様との出会いを、楽しみにしています!


▼興味を持たれた方は、ぜひイベントの趣旨や関係者のキャラなど、より深くチェックしてみてください。


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