災害時に不足しやすい栄養について

災害時では手に入る食料がどうしても限られており、大変な思いをされていることと存じます。心よりお見舞い申し上げます。

私たちは食事により、糖質や脂質、タンパク質などを体内に摂取し、ビタミンやミネラルをうまく利用することでエネルギーを産生することができ、生命を維持しています。

ここでは、災害時での食事において、特に不足しやすい栄養素を挙げます。

《　不足しやすい栄養素　》

１．ビタミンB群
２．亜鉛などのミネラル
３．タンパク質
４．鉄分
５．ビタミンCやビタミンD、　食物繊維など

※上に掲げた栄養素は私が考える優先度が高い順になっています。

本来ならば、大変な状況下ですからこそバランスの良い食事が求められるのですが、現実的にはなかなか難しいのが災害時と思われます。
可能であれば…
不足しやすい栄養素は体調を整える目的でサプリメントにて補充をされてはいかがでしょうか。
ちなみにサプリメントは一般的に空腹時ではなく、食事後に水で服用されるのが効果的です。

全てを揃えるのは大変ですし、日々の生活にサプリメントとは無縁の方も大勢いらっしゃいます。ですから無理してでも取り入れて…とは申しません。

もし、備えて（飲んで）みようかなと思われる場合は、ビタミンB群だけでも取り入れてみる、または総合ビタミン剤もOKです。（その場合は脂溶性ビタミンであるビタミンA・ビタミンD・ビタミンEなどが過剰摂取にならないよう、1日の摂取量を必ず守ってください）

カプセルや錠剤が飲めない方のための細粒状のサプリメントもあります。
細粒状のものは取り扱いの種類が少ない（手に入りにくい）と思われますので、ご注意ください。

鉄分を補給される場合は、ヘム鉄タイプのものが胃のムカムカが出にくく、体内への吸収効率も高いのでおすすめです。

ビタミンCのサプリメントは商品として多く出回っており比較的手に入りやすいと思います。
服用される際は、多めの水分とともに摂取されたほうが良いと思います。

普段から飲み慣れたサプリメントがあれば非常時持出袋などに被災グッズとともに常備すると、体調管理に役に立つかもしれません。
尚、その際に入れるサプリメントは品質劣化を防ぐために【未開封】のものにされてくださいね。

栄養補助食品や栄養補助飲料もいいですね。
食べ慣れたもの（飲み慣れたもの）がおすすめです。
昨今はタンパク質強化の商品もありますから、それを携帯するのもよいでしょう。
消費期限には十分気を付けてください。
プロテインを持っていく方もいらっしゃるかと思いますが、溶かしたプロテインはすみやかに飲むように気を付けてください。

そして水分も重要！

生命を維持する上でかかせないのは水です。
トイレのことがどうしても心配になりますが、できる限りこまめな水分補給を忘れないようにされてください。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくいため、特に夏場は熱中症になりやすく、その結果腎臓などにダメージが出ることが懸念されます。
お近くの方にそのような方がいらっしゃる場合は是非声がけをしていただければと思います。

《　重要　》　ご病気で投薬治療中の方へ

栄養のために取り入れるためとはいえ、処方されている薬とサプリメントとの相性（飲み合わせ）がよろしくないことが多々あります。

必ず医師や薬剤師など専門家へ必ずご相談ください。
薬の服用を最優先し、治療を継続することがとても重要です。

服薬中のお薬やお薬手帳は忘れずに！

医療支援下では様々な地域から医療の応援に駆けつけてくれています。ご自身のかかりつけ医ではない医師や医療従事者が担当することになります。

仮に同じ科の医師が診るのであっても初めての診察になりますので、ご自身の状態がどういうものかはわからない部分が多くあります。

服薬中の薬やお薬手帳があれば、患者がどういう状態かの病状把握に役に立ち、診察時間の短縮や処方もその分早くなります。また、災害時は仮に主治医と連絡が取れなくても、お薬手帳があることで薬剤師に薬を処方していただけることがあるそうですよ。

《　重要　》　栄養摂取に心配ごとがある方へ

・持病のある方（糖尿病、腎臓病、高血圧など）
・食物アレルギーのある方
・乳幼児、妊婦、授乳中の方
・高齢者、通常食では嚥下が難しい・歯が悪い・硬いものがたべにくい方　など

ご不安な方はできるだけ早めに食事について担当している部署（災害対策）や避難所の責任者やスタッフの方にご相談されたほうがよろしいでしょう。

我慢して体調が悪化してしまうことはどうしても避けなければいけません。
同じように困っている方もいらっしゃると思いますから、どうか勇気をもってお話されてくださいね。