必要なのは商流、金融(金流)、情報流が互換性のある標準化されたシステムで「面」として展開されるEDI。
昨年(令和元年)10月1日から消費税が標準税率の10%と軽減税率の8%の複数税率制となり、会計処理と税務申告が複雑かつ煩雑となったことは多くの事業者が経験していることだろう。令和5年10月1日から適格請求書等保存方式が導入されると、仕訳の入力時に消費税額を自動入力するのではなく、外税を基本として消費税額を手入力しなければならなくなる。その複雑さ、煩雑さは一層増すことは間違いない。
この複雑さ、煩雑さを解消するためには電子インボイスとして適格請求書等を電子化する必要があるが、一般的な市販の会計ソフトや税務申告ソフトでは十分な電子化ができない。
何故ならば、会計ソフトの入力は「仕入/買掛金」という購買業務がスタートになるが、電子インボイスを電子的に作成するためには、仕入元からの購買データが電子データで入手される必要があるかるである。
当然のことながら、会計・税務申告ソフトと業務の基幹ソフトとの連携がなければならない。購買や販売、それに関わる請求等に関わるデータが連動されないからである。
しかも、基幹業務ソフト、会計・税務申告ソフトの連動で社内のデータが一元化されてもまだ不十分だ。
基幹業務ソフトの入り口と出口、つまり仕入元と販売先ともシステム的に連動されていなければならない。仕入元からの購買データや販売先への販売データが、一気通貫で連携されなければ意味がないのである。
そしてまだある。決済業務である。
一枚の請求書と入金額が一体一対応になっていればなんの問題もないが、通常は複数枚の請求書に係る請求額が一括して入金されたり、請求書の一部の請求額だけが、あるいは請求書の一部の請求額と他の請求書の請求額とが合算されて入金されるなど、売上債権の消し込みが大きな事務負担になっている。これを解決する仕組みが金融(金流)EDIである。
一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが進める全銀EDIシステム(ZEDI)では、支払通知番号や請求書番号などの商取引に関する情報(商流情報)をXML形式のEDI情報欄に添付することで、受取企業側での売上債権の消し込み作業の効率化を図り、事務負担の軽減を目指している。
このように、一企業内部の業務プロセスにとどまらず、サプライチェーン全体、ビジネスチェーン全体で商流、金融(金流)、そして商流に伴う情報の流れ(情報流)がシステム的に連携されることがのぞまれる。
そしてそれは特定のサプライチェーン、ビジネスチェーンのみで利用可能なものではなく、互換性のある標準化されたシステムが、「面」として展開されなければならない。
令和5年10月1日の適格請求書等保存方式の導入を控え、今、大きな転機に差し掛かっています。