あきらめ倒産は事業承継の遅れ。今、事業承継のスピードアップが求められています。
新型コロナウイルス感染症の収束が長引いた場合「中小企業の7%余りが廃業を検討する可能性がある」と回答していることが、東京商工リサーチの調査で分かりました。大企業で廃業を検討する可能性があると回答したのは0.8%ほどであり、中小企業の方が大企業に比べてより危機感を募らせていることが分かります。
廃業を検討する可能性があると回答した中小企業のうち45%が、その時期について1年以内だと回答しているそうです。
cf. コロナ長期化 中小企業7%余「廃業検討の可能性」信用調査会社(NHK)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まった今年春、あきらめ倒産という言葉が頻繁に使われました。経営者が未来への希望を失い、事業継続を諦めて廃業してしまう。中には自らの生命を絶ってしまわれた方までおられました。
新型コロナウイルス感染症がなくても、決して経営が楽ではなかった中小企業や小規模事業者。必死で事業の継続を図っていた経営者の背中を、新型コロナウイルス感染症が押してしまったのは確かです。
経営者はなぜ、経営を諦めてしまったのでしょう。
さまざまな事情はひとそれぞれあるでしょうが、大きな理由の一つとして考えられることが後継者の不在です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に向けた融資制度は充実しており、必要であれば資金の調達は容易です。
しかし、借りたお金は返さなければなりません。
将来の見通しがつかず、自らも高齢で後継者もいない。そんな中で新たに融資を受けても、当面の資金繰りは楽になるかもしれませんが、将来の返済原資の確保で経営が厳しくなることを考えると、敢えて火中の栗を拾わず、自らの事業に幕を下ろす選択肢を選んでしまう。
哀しい選択です…。
あきらめ倒産の遠因となっている要因のひとつとして、事業承継の遅れが考えられます。
事業承継は、今、この時に悩んでいる企業の事業承継を考えることも重要ですが、実は5年後、10年後を見据えた事業承継の手続きが重要です。
事業承継にあたってよく聞く話に、「自分の会社は借入金も多いし、跡を継がせるような会社ではないから」とか、「この業界には明るい未来がないから」というものがあります。
確かに、現時点では会社の経営成績や財政状態は芳しいものではないかもしれません。
業界も厳しい状況にあるかもしれません。
その芳しくない企業の経営成績や財政状態を改善し、業界に明るい未来をもたらす。そして後継者を見付け、育てる。
時間のかかる作業ですが、絶対に行わなければならないことです。
新型コロナウイルス感染症は、奇しくもわが国の事業承継の遅れを白日の下に現わしてくれました。
今、事業承継支援のスピードアップが求められています。
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