マイナンバーは、買い手が買いたい製品になっているか?
過去に類のない素晴らしい製品を開発し、その商品を一人でも多くの方々に知ってほしい、多くの方に使ってほしい。そんな思いで事業を立ち上げる方がいる。しかし、その中のどれくらいの方々が成功し事業の継続ができるだろうか?
成功するか成功にいたらないかの境をなす要因には様々なものがあるが、その一つに、その『素晴らしい』製品は、「誰にとって『素晴らしい』製品なのか?」という根本的な問題がある。
製品を開発するにあたり「こうしたらもっと使いやすくなるんじゃないか」、「こうした方が便利だろう」と、あれこれ考えながら開発をするであろう。したがって、開発される製品はどうしても開発者目線で作られる傾向がある。
しかし、売れる製品は「売り手が売りたい製品」ではなく、「買い手が買いたい製品」なのだ。
昨日、9月1日からマイナポイント事業が始まった。
cf. マイナポイントってなに?(総務省)
政府はマイナンバーカードの普及や消費喚起、キャッシュレス決済の拡大を目的に、4千万人の利用を見込み、計2千億円の予算を用意したが、総務省によると申し込んだ人は8月30日時点で376万人にとどまるとのこと。
なかなかマイナポイントの利用申し込みは伸びていないようだ。
cf. マイナポイントきょう開始 手間…事前申し込み1割未満(朝日新聞)
私自身は、マイナポイントの利用申し込みはしていない。
それどころかマイナンバーカードの取得もしていない。
秘匿性の高い特定個人情報を、日常生活で用いる本人確認のための書類や健康保険証、ポイントカードとして利用することへの違和感もある。
個人番号利用事務実施者(税務署や年金事務所、健康保険組合、ハローワーク等)、というよりも、行政機関での活用を前提として総てのロジックが構築されているため、われわれからするとそのメリットが見えないばかりでなく、制度自体が腑に落ちない。
同じ思いを持っている方も少なくないのではないだろうか。
マイナンバーは、行政の、マイナンバーを利用させる側の目線で設計されている。広く国民に普及させるためには、マイナンバーを利用する国民目線でマイナンバー制度の設計をする必要があったのだ。
5,000円のマイナポイントでどれだけ人の『心』が動くのだろうか。
ところで、マイナンバーを扱う個人番号関係事務実施者(民間企業や社会保険労務士、税理士等)や個人番号利用事務実施者(税務署や年金事務所、健康保険組合、ハローワーク等)は、安全管理措置を整備し、導入する必要がある。果たして現在も変わらず適正に運用されているだろうか?
もし安全管理措置が適正に整備・運用されていなければ、マイナンバー法違反となる恐れがある。そのことを思うと、自分自身がマイナンバーを利用することの是非に疑問が湧くのだ。
cf. マイナンバー制度と安全管理措置(マイナンバー対策準備室)
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