『安全』と『安心』。『感情』を持つ人間へ働きかけるということ。
『安全』と『安心』は全く異なる概念である。
この考え方が企業経営において定着して、もう随分の年月が経ちました。
もう、広く一般に普及している、ごく当たり前の考え方だと思っていましたが、どうやらそうでもないようで、正直なところ心細く思っています。
新型コロナウイルス感染症のPCR検査を例に考えてみましょう。
医療や感染症予防の観点からPCR検査を活用して感染症の拡大を抑える。これは『安全』のための活動です。
他方、経済活動の観点からPCR検査を活用して飲食、購買、旅行等、社会活動を活発にする。これは『安心』のための活動です。
『安全』と『安心』は異なる概念ですから、それぞれを達成するためには当然のことながら異なるアプローチが必要になります。
人間は『安全』であれば『安心』するというのは幻想にすぎません。近代経済学のレガシーです。
『安全』と『安心』の違いがきちんと理解されていないと議論がすれ違い、混乱をきたしてしまいます。
人間には特有で特徴的な性質、『感情』があります。
『感情』に正面から向き合い、働きかけることでしか人間は動きません。
このことを忘れてはなりません。