#12 「フェアでフラットな組織」とは?
代表の永井です。
弊社は、年齢・性別・役職等にかかわらず「フェアでフラットな組織」であろうと努めています。
ただ、実際のところはどうなのか?
私たちが目指すべき、本当の「フェアでフラットな組織」とは何なのか?
それを知るには、現場の声に耳を傾けてみるのが一番。
ということで今回は、立場の異なる4人が弊社の組織のあり方について本音で語り合いました。
【出席者】
永井:代表取締役社長
酒井:デザイン部所属、男性。入社13年目(昔のことをよく知る世代)
嶋田:法務総務部所属、女性。入社5年目(中途入社組)
林:広報担当、女性。入社5年目(新卒組)
LMIは本当に「フェアでフラットな組織」なのか
永井 会社としては「フェアでフラットな組織」を謳っているわけですが、仕事をしている皆さんはどう感じているのか、今日はそこを聞いてみたいなと思ってお集まりいただきました。ぜひ率直に話してみてください。
林 私は新卒採用1期生として入社してから5年目になりますが、昔の話として聞くような厳しい叱責だとかは一切ないですね。上司の年齢も5歳違い、離れていたとしても10歳くらいしか違いませんし、上司というよりは先輩という感じです。プライベートも含めて何でも話せる関係性で、下の世代としてはすごくやりやすいなと感じています。
酒井 昔と比べれば、ずいぶん変わりましたよね。フレックス制度ができ、在宅勤務も可能になりました。デザイン部のメンバーはほとんどが女性ですが、それも多様な人材が働きやすくなってきた表れなのかなと思います。
永井 別に珍しいことでもないですが、オフィスはフリーアドレス。自分の隣で社長の私が仕事をしていても、誰も何も思ってない。
林 それが普通だと思ってます(笑)。
嶋田 人間関係などの部分でフラットな組織であるという点に関しては、私も同意見です。ただ一方で、意思決定や評価といった面から考えてみると、まだ構築段階の途上にあるのかなという気もします。たとえば「私はこれだけの成果を残したので評価してください」とアピールすればしっかりと汲み取ってもらえる一方で、何も言わずとも成果が自動的に評価に反映されるような仕組みはまだ完全にはできていません。そこまでできるようになると、よりフェアでフラットな組織になるんじゃないかなと思います。
酒井 フレックス制度や在宅勤務という仕組みができたことで、以前よりも個々の関わり合いが薄くなっているところもあると思う。その結果、自分の知らないところで何かが決まっていた、というようなことも起こりがち。自分から積極的に関わっていくタイプの人は問題ないですが、全員がそうとは限りません。昔に比べてフェアでフラットになっているけど、それを感じにくい状況にある人も増えつつあるのかな。
とにかくフラットであればいい、というわけではない
永井 なるほど。まだまだ不完全なところもあるということですね。せっかくの機会なので、どんな問題点があるか、もう少し掘り下げてみましょう。
嶋田 フェアでフラットな組織を目指した結果、声の大きい人が勝ちやすくなる、という傾向はどうしても出てくると思います。性格が明るくてリーダータイプの人はやりやすいでしょうけど、そうではない人たちにとってはやりづらいのかもしれません。
永井 しっかりと主張できる人が生き残っていくのがこの社会だ、と考えるのはきっと古いんですよね。
嶋田 やはりダイバーシティ&インクルージョンが重視される今の時代にはそぐわないのかな、と……。
酒井 声の大きい人の意見が常に正しいとも限らないですし、何も言わないけど良い意見を持っている人もいる。そこは難しい。
永井 全員が自由に意見を言い始めたら、今度はきちんと統制がとれるのかという問題も出てきますね。でも、議論としてはすごく興味深いです。今の状態というのは、誰でもトップに意見を伝えられる直接民主主義のような形なのかなと思います。それは、昔の世代からすれば、ずっと憧れていたもの。ただ、自由度が高すぎると意見がまとまらなくなるリスクもあって、会社のグロース速度という観点で見ると、最適とは言えないのかもしれない。「フェアでフラット」の振り子を少し戻してあげたほうがいいというか。
嶋田 フラットを強調しすぎた結果の弊害というのは、あまり語られることはありませんが、実際のところはあるような気がします。
酒井 グローバル企業の例を見ても、民主主義というより、カリスマ的経営者のパワーで急成長してきたパターンがわりとよくありますね。
林 個人レベルの話になりますが、マネジメント層がみんな優しい職場より、ちょっと強引にでもやらされる職場のほうが成長できる、みたいなこともあるのかなと思います。フラットすぎる職場だと、成長速度が遅いと感じて転職してしまう人もいそう。
永井 たしかに! これは古い世代の感覚ではあるけど、上司から「明日の朝までにやってこい」と理不尽なくらいの命令を受けていたころに、急角度で成長できた気がする。
より高度なコミュニケーション能力が求められている
嶋田 顧客対応でも同じですよね。あのとき厳しい要求をされたから今の自分があるのかな、と思うところもあります。今のお客様は、厳しくおっしゃられることはほとんどなくて、「あまり無理しないでくださいね」だとか、むしろこちらのことを気遣ってくださる方が多いです。ただ、それは少し怖いことでもあって。こちらがお客様の要求に応えきれなかったときに、笑顔で去っていかれるのかなと思うと……。真意を読む、より高度なコミュニケーション能力を求められている気がします。
永井 たしかにコミュニケーションにも工夫が必要ですね。たとえば、こちらが何らかの失敗をして、迷惑をかけてしまったお客様から優しい連絡をいただいたとすると、私はそれをそのまま部下に伝えるわけにはいかない。その優しさに安心されては困るので。「言葉は優しかったけど、きっと本当はかなり怒っているから全力で対応してください」と伝えなければいけないわけです。そのあたりのバランス感覚も大事。
林 マネジメントされる側としては、優しい言葉を額面通り受け取ってしまう危険性もありますね。「もしかしたらやばいのかな」と思いつつも「怒ってなかったから大丈夫かな」と安心してしまいそうです。
酒井 そこは、私たちマネジメントする側としても考えないといけない部分。その部下のことを本当に大事だと思うなら、ある程度は強めのことを言って教えてあげたり、気づかせてあげたりすることも必要だと思います。
嶋田 決めつけ、押しつけ、締めつけではなく、自主性を重んじながらも、間違った方向に進まないように、ちゃんと成長できるように導いていく。両極端ではなくて、真ん中のところでバランスを取るというか。
酒井 マネジメントする側としては、部下に嫌われてもしょうがない、くらいのある種の諦めは持っておいたほうがいいですよね。もちろん普段は相手の気持ちに配慮した言動を心がけますけど、何か問題があったときに部下に何も言えないというのが一番良くない。
嶋田 おっしゃる通りですね。私は、好かれようとは一切思ってないです(笑)。
「成熟度の高い人材」が、個の自由度と組織のガバナンスを両立する
永井 少し昔の話をすると、林さんたち新卒1期生が入社してくる直前くらいの時期に、私は自分のマインドを根本から見つめ直したんです。そうやって古くさい考え方を捨てたのが、フェアでフラットな組織づくりへの第一歩でした。経営者の気持ちが変わると、それはじわじわと会社全体に広がっていくもの。昔から在籍している酒井さんは会社が変化していくのを感じ取っていたんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
酒井 なんとなく感じていました。今になって振り返ると、そのころを境にして採用の方針が大きく変わったように思います。以前よりもしっかりとフィルタリングがなされるようになって、人材のレベルが一段と上がった。それによって、それぞれが能力を発揮しやすい環境が生まれてきたのかな、と。
永井 人材の成熟度のことをマチュリティ(maturity)と表現しますけど、マチュリティを備えた人、高い視座からものごとを考えられる大人が集まる組織になってきたと言えるのかもしれません。この春に入社したばかりの1年目の社員がこの場にいたとしても、ちゃんと自分の意見を臆せず言えると思います。発言する側も、聞く側の私たちも、それを自然に受け入れられるマチュリティが備わっているというか。そうした人材からなる組織であれば、フェアでフラットであっても、身勝手なふるまいをしないから統制がとれる。
嶋田 なるほど。目線の高さが揃ってきて、そういう大人のメンバーが今の自分たちにふさわしい「フェアでフラットな組織」のあり方を模索している段階ということですね。
永井 そうですね。会社のフェーズに合わせた最適な形を見定めつづける努力が必要なのだと思います。今日は皆さんの率直なご意見を聞けてよかった。ご協力ありがとうございました!