またあいたいあのこ
お弁当にウニ丼とロケット花火を詰めたリュックサックを持って、わたしは家を出た。
駅までの道を歩きながら、さっきの「おまじない」を思い出す。
あれは本当に効果があったのだろうか? あの日以来、彼女とは会っていない。
もしかしたら彼女はもう引っ越してしまっているかもしれない。
会いたい。磯の香りがする彼女に会いたい。
そんなことを考えているうちに駅に着いた。ホームにはたくさんの人が並んでいた。みんなこれからどこかへ出かけるらしい。楽しそうな声や笑い声が聞こえてくる。わたしだけが一人ぼっちで電車が来るのを待っているみたいだった。
ふいに、後ろから肩を掴まれる。振り向くと、そこには彼女が立っていた。
「久しぶりだね」と言って彼女は笑った。
「どうしてここにいるってわかったの?」
「なんとなく、かなぁ……」彼女は首を傾げて、「あーでも、偶然じゃないよ。キミのことを追いかけてきたんだから」と、水浸しの彼女が言う。「追いかけた……?」
「うん。キミを追いかけてきたんだよ」
「えっと……どういうことなの?」
彼女は何も言わずに微笑むだけだった。そして、急かすようにわたしの手を引いた。
改札を通り抜け、駅の外へ出る。傘をさす人はほとんどいなかった。
彼女の頭の皿から、なつかしい磯の香りがした。