#2 銀河の犬と水玉~曼珠沙華の伝言~
第1章 プロローグ
曼珠沙華の伝言
真っ赤な曼珠沙華は何とも言えない存在感を解き放っている。
見る者の心によって映り方は違うのだろうか。
何よりも赤い、あかい、曼珠沙華が咲いている。
真っ白な曼珠沙華はとても清らかで、他のどの白い花よりも白い、しろい、まっさらな曼珠沙華がそこに咲いていた。
曼珠沙華の花言葉は沢山あるのに、全て一致してしまう不思議な花だ。
赤い曼珠沙華には、情熱、独立、再会、あきらめ、転生、悲しい思い出、思うはあなた一人、また会う日を楽しみに
白い曼珠沙華には、思うはあなた一人、また会う日を楽しみに
黄色い曼珠沙華には、追想、深い思いやりの心、悲しい思い出
色ごとにわかれた花言葉。
その日の庭には真っ赤な曼珠沙華と真っ白な曼珠沙華が咲いていた。
彼女が最期の場所と選んだのか、倒れていた草むらのすぐ脇には真っ赤な曼珠沙華が咲き誇っていた。
もう尿の生成が出来なくなった身体で懸命に尿を出そうとしていたのが、真っ白な曼珠沙華が咲いている場所だった。
そこに彼女がメッセージを残したのか
それを見ていた曼珠沙華が彼女のメッセージを伝えてくるのか
真っ赤であり真っ白な曼珠沙華のハッキリしたその鮮やかさと、美しい姿があまりにも焼き付いて離れない。