ある日



急にスマホがネットに繋がらなくなった。

最寄駅についた時、ネットが使えず電話もできないことが判明し、出先で合流予定の母に「これから電車に乗る」という旨を伝えるべく公衆電話を探す。

電話のマークがあるのにそこには何もない。困った。

みどりの窓口で教えてもらった公衆電話に向かう。

どう使うんだっけ。

お金を先に入れてみる。

戻ってきた。

今度は受話器を取ってみる。

コインもしくはカードの挿入マークが出てきた。これか。

10円を3枚入れて母に電話をかける。


繋がらない。
留守電になったから思わず切ってしまった。

留守電残しておけば良かったな…。

もう一度かける。今度は10円2枚。

3コール目でよそゆきの「はい」が聞こえる。
非通知だから出なかったらしい。

ネットが繋がらないことやどこで落ち合うかの話をしていたらあっという間にお金が足りないという表示。

まずいまずい。

大慌てで取り出した100円を投入。

あれ、表示がおかしい。
しかも入れた瞬間お金飲み込まれる音したな?
もしかして

ああ、やっぱり100円はお釣りが出ないのか。失敗した。

ええいそれならのんびり話すか。

今日は来年から住む家を決めるために、まずは候補の駅とその周辺を見てみる予定だった。

目的の駅は何があるかわからないから集合場所が決められない。

仕方がないので母の職場の最寄駅に行くことにした。

うんわかった。じゃあ○○行くわ。

うんそうね、じゃあーーー

ここで切れた。

あらもう100円切れたんか。

まあもういっか、電車に乗ろう。

##

電車。



本は持たなくていっか。
あ、イヤンホホ忘れた。いやもういっか。

で出かけてしまったからオフラインでできることが何もない。

noteも意外とオンラインじゃないといけないみたい。
考えてみればパソコンで書いた下書きがスマホで続きを書けてるんだからそりゃそうだ。

仕方がないのでデフォアプリの"メモ"を使う。


ああ、ネットが使えないって不便。というか無力。ということに改めて気づく。

それよりもさらに、何も使えなくなって外をみるとか広告を見るのではなく、メモを使ってまで能動的に何かをしたがる自分に驚き。


ふと、思い出してみる。

かつてのその人。

会わなくなると、気持ち薄れる薄情もんだから、おさまったろうとおもったワクドキも、目を見ると、やっぱり自分って薄情もんと思ったり。

バスを無くして歩いた帰り道。

男はファイル保存。
女は上書き保存。

なんて嘘だなぁ。



あ、着いた。ちゃんと会えるかな。

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