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「15分都市」の原則で都市計画を進めるタリン
case|事例
タリン市は、空間環境や生活の質の改善および競争力の強化を目的に、15分都市の原則に沿った都市計画事業の推進を強化する。タリン市の2025年の都市計画予算には610万ユーロ(約9.7億円)が計上されており、サービスの空間分布の分析や15分都市の原則に沿った事業に対して重点的に配分されている。2025年の都市計画事業においては、包括的な計画に基づきタリン市の空間アイデンティティを形成すること、都市と交通の中心拠点を整備すること、街路環境における質の高い公共環境を強化することが優先的な課題として挙げられている。
タリン市は、15分都市の原則で都市計画を進めることで、新たな幼稚園や学校、高齢者施設の効率的な計画を可能にするとともに、アクセシビリティを改善しコミュニティのニーズを満たすことができると考えている。都市計画を担当する副市長は、「タリンはすでに徒歩15分圏内で日常的な生活サービスを提供しているが改善の余地はある。今後、すべての市民に平等に機会を提供する必要があり、公共交通のアクセシビリティを考慮した都市開発やウォーカブルな都市空間のデザインが必要。」と述べている。
タリン市の2025年の都市計画事業には、大規模開発の複数のコンペやマルチモーダルの整備などが含まれている。なお、タリン市の15分都市の原則に基づく都市計画は、タリン開発戦略2035を上位計画とし、EUの欧州新バウハウス原則に沿って行われる。
insight|知見
日本のまちづくり界隈でも15分都市は重要な概念としてすでに共有をされていますが、都市計画の原則として位置づけている都市はまだないように思います。
計画の継続性も重要だと思いますが、欧州やアメリカの先進的な都市が新たな都市計画の概念に則って大胆に計画の原則を変えるのは、都市の変革を進めるうえで重要な態度ではないかと思います。
これまでも15分都市と同様にコンパクトシティや公共交通指向型開発(TOD)がブームとなりましたが、このような理念を適切に実践に落とし込むというのも日本の都市計画の課題ではないかと思います。