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シカゴは食の不平等を解消するために市営の食料品店開業を検討

case|事例

シカゴ市は、経済格差の拡大などに起因する食の不平等を解消するために、非営利団体の「Economic Security Project」と協働して市営の食料品店設置に向けたフィージビリティスタディを行っている。公営の食料品店設置は小規模な自治体での事例はあるが、主要都市ではアメリカではじめてとなる。シカゴ市長は、今回の検討に際し、「全てのシカゴ市民に便利で手ごろな価格で健康的な食料品店の近くに住む権利があるが、市南部や西部では多くの市民が食料品店のアクセスに難がある。」と課題を述べている。

アメリカ農務省の推計では、シカゴのウエストイングルウッドの住民のうち62%が、イーストガーフィールドパークの住民のうち52%がそれぞれ最寄りの食料品店から800m以上離れたところに住んでいる一方で、高所得者層の住むエリアではその割合は1%に満たないと食へのアクセスの格差が明確に示されている。また、人種別にみてもシカゴ市に住む黒人の37%、ラテン系住民の29%が食に不安を抱えており、その水準は自然体の19%よりも高い値を示している。

シカゴ市は、公共的なサービスは経済的な選択肢をコミュニティに提供すると考え、市民生活の中で果たせる政府の役割を再考し始めている。

insight|事例

  • 現在の日本では、過疎地を除いて、食の不平等さはさほど気になる問題ではないかもしれませんが、高齢化で自動車が使えなくなった人が増えてくると深刻化してくるのかもしれません。

  • きっとその時には自動運転が社会実装されていてと楽観的なシナリオもあり得るかもしれませんが、その時に経済格差があったとしても平等に移動手段が選択できるようなサービスとなっているのか、そもそもの経済格差を縮小できるような富の再配分ができているのかという問題は残ります。

  • かつて、ブラジルのクリチバは、主要なバスターミナルにシチズンシップ・ストリートを整備し、そこで行政サービスや日頃の買い物、用事が済ませられるようにしました(たしか低所得者用の食料品店も設けられていた)。

  • 本来の都市計画は、容積緩和や高さ制限の撤廃のような経済政策的な側面だけでなく、生活の質を高め公共サービスを行き届けさせるための社会福祉政策的な側面もあるよなと記事をよんで改めて思いました。(むしろ後者が本来の都市計画の役割。)