風 邪は自分を方向付ける羅針盤の力|風邪と自己認識
今年は、風邪について研究した一年でした。
風邪。
老若男女問わず、誰しも一度は引いた経験があり、当たり前に存在する、風邪。
しかし、私たちにとってもっとも身近な病気でありながら、実は、私は風邪について何も知らないことに気がついたのです。
風邪をつかむのは難しい
あらゆる病を手がけてきた整体の創始者、野口晴哉でさえも、もっとも難しい病は風邪であると述べています。
特別に難しい病気というものを私は感じたことがないのです。ところが、風邪となると、治そうと思っていると簡単に通ってしまったり、油断していると他の病気に変化したりして非常に捉え難い。
(著書・風邪の効用より)
他の病気はこれをしたらこれ、という万人に共通するようなコースや型みたいなものが存在するけれど、これが風邪となると症状に個人差が大きく、普段からの癖や習慣、心の傾向性など、その人のことを深く知らないと治せないというのです。
また、風邪のとてもすばしっこく、追いかけるのが大変という特徴が、治療を難しくさせます。
東洋医学では風邪のことをふうじゃ(風の邪)と言いますが、風邪(ふうじゃ)は変化や移動がはやいという性格を持ちます。それゆえ、風邪の症状や経路をつかむのはとても難しく、追いかけているうちにどこかへ逃げて行ってしまうのです。また油断して気にかけていないとくるくるといつまでも身体中を駆け回って他の病気を誘引したりします。
では、風邪は人間にとって悪者なのでしょうか。
一見、風邪は人間の生活を邪魔する敵のように感じられますが、ある意味ではそうであってもそれは全てではありません。
台風と風邪は似ている
野口晴哉は同著で、風邪を治すものではなく、経過させるものだと主張します。そして、冒頭でこのようにも述べています。
風邪が偏り運動修正や潜在的偏り疲労の調整を行っていることは事実である。
(中略)
風邪は万病のもとという言葉に脅されて自然に経過することを忘れ、治さねば治らぬもののように思い込んで、風邪を引くような体の偏りを正すのだということを無視するのはよくない。体を正し、生活を改め、経過を待つべきである。このようにすれば、風邪が体の掃除になり、安全弁としてのはたらきを持っていることが判るだろう。
(著書・風邪の効用より)
台風のシーズンにこのことを思い出して、台風と風邪がとても似ていることに気がつきました。(ここからどっぷりと風邪研究に入っていくのですが・・)
人間の目線からは、甚大な被害を及ぼす存在として捉えがちな台風ですが、台風には実は地球にとってとても大事な役割があります。
台風は海水をかき混ぜます。
海水がかき混ぜられることで熱が集中していた部分の温度が下がり、温度が高すぎる環境下では暮らしていけないサンゴ礁などの植物の命を助けます。
また、海の生き物の死骸などが分解されて深海に沈み込んでできた豊富な栄養資源を行き届いていないところまで循環させる役割もあります。
台風は海水をかき混ぜることで、海の環境を浄化します。
滞りをなくし、循環を正常化するために働いてくれるのです。
台風も風邪も、治すものではなく、経過させるもの。
うまく経過させることができれば体(地球)を綺麗に掃除し、そして大事に至らないための安全弁として働いてくれるのです。
風邪は全ての人に等しく与えられた羅針盤|身近にあるものから始める自己認識
世界中にコロナウィルスが蔓延する中で、私たちはいつにも増して、「風邪をひく」ことに対して罪悪感を覚えるようになりました。
もちろん、この状況が一刻も早く終息するよう、一人一人が感染対策に努めることが大切なことは言うまでもありません。
しかし、風邪をひくこと自体が、悪いことのようにしか思えなかったら、風邪自体を宿敵のようにしか思えなかったら、それは風邪の片方の顔しか知らないことになるのではないでしょうか。
風邪の自然と人とを調和させ、日常の中で知らず知らずうちに溜め込んでしまった偏りやズレを正し、活力を与えるという働き。
その本来備わっている働きに対して、罪悪感を覚えなくてはならないのはとても苦しいことで、それは知らず知らずのうちに、私たちにとって微かなプレッシャーとなっている気がしてなりません。
風邪について理解しようとしてから、普段から、私は本当によく風邪を引いていることに気がつきました。
いつも自分がイメージしていたような、しばらく養生を必要をするものもあったけれど、ほとんどは数時間で出て行ってしまうような小さなもの。小さく頻回に風邪を引いた一年でした。
そして驚くことに、その小さな風邪がやってきては通り過ぎるたびに、ほんの少しズレていた方向性がしっかりと正され、思考のピントが合っていくような爽快感がやってきました。
そして、身体はつるりと薄皮一枚むけたようなすっきり感を覚えています。
風邪と丁寧に付き合っていくことは自分を知ること。
風邪には私が知らなかった自己認識の力が込められていることに気がつきました。
それはまるで、日常で微かにくぐもって見え難くなっていた素直さを取り戻させ、自分が本来行きたかった場所へと方向づける、羅針盤のような力です。
感染対策は万全に。この事態が一日でも早く収束することを願いつつ、風邪のもたらす大いなる恵みを忘れたくないもの。
これからの時代、風邪のようなものすごく身近にありながらでもその潜在性に気がついていなかったようなことの中に、個々人が自分なりの大きな力を見出していくことがとても大切になると思っています。
・・書けた(笑)。
風邪について、年を越す前にどうしても書きたかったのです。
私は何かにはまると一人で探求に没頭して自己満足にひたる傾向があるのですが、何度も小さな風邪を経過させながら、「もうこれは違うな」と思い至ったのでした。
来年のビジョンは「共同創造」と決めています。
だから、これからの探求は開きながら行っていこうと決めています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
風邪から自分を知る方法。
これからもnoteで発信していきますね。よかったらまた読んでください。
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