むすんでひらいて-ウィルバーと十牛図-|裏の畑Body work部
月に一度のシュタイナーの絵の教室「裏の畑」の後半の部で、Body work講座を担当しています。前半の部の絵の教室はこちら↓
4月17日。
今月からこのBody workクラスでは、十牛図を学んでいきますが、その前に。昨年もこの時期にやったウィルバーの意識のスペクトルのお話を。ウィルバーの意識のスペクトルは全部で10枚ある十牛図の全体像をつかみやすくしてくれる、地図のようなものだと思うからです。
昨年の様子はこちら↓
難解で何度聞いてもよくわからなかったケンウィルバーの意識のスペクトルの図。昨年、どうやったらわかりやすくなるかなと考えて思いついたのが紙を折りたたむというシンプルな方法でした。人間の意識の発達には二つの流れがある。生まれついてから人は、新しいことを学び、自分を高め、社会の中での自分の立ち位置を見つけていきます。それは社会化の流れ。大きな一枚の紙(=一人の人間の広大な自己)を、この「社会」という枠に合わせて折り畳んでいくような作業です。
時が満ちると、折り畳んだ紙を広げて自分が歩んできたプロセスを振り返ります。そして、自分がこの人生で一体何を表現してきたのか、選んでこなかった可能性は何だったのかを知り、統合していきます。これがもう一つの流れ。ユングのいう個性化の道です。もうこれ以上折り畳めないというポイントがいつか訪れるのです。
時として、折りたたむことに真剣になりすぎるあまり、何のためにこれをやっているのか、自分がどこへ向かっているのかわからなくなることがあります。心身の不調や何かしらのトラブルとしてそれを体感することもあります。けれどそんな時は、「もう広げる時なんだよ」というサインが送られている時。社会化の流れから個性化の流れに切り替わっていくタイミングに今その人がいることを示しています。そして、この折り畳んだ紙の中にあるのは、わたしの可能性なんだと気づいたところから紙を広げるプロセスが始まります。
この「これ以上折り畳めない」という感覚はとても大切で、それこそがまさに十牛図の第一図「尋牛」の感覚です。
ここから第二図の牛の足跡を探す「見牛」のプロセスに入るわけなのですが、牛の足跡を見つけているようで、実はただの資格ゲッターになってしまっていたり結局はまだ社会化の流れに何とかしがみついているということもあります。しっかりと個性化の流れに折り返すには、この第一図で「徹底的にわからなくなり、なす術がなく、孤独を体験していることがとても大切になるのです。
それを深く体験していればいるほど、折り返していく原動力になるのです。そして、この折り返している人を体験している人は、今折り返そうとしている人を安易に元に戻そうとはせず、その人の力を信じて見守る温かいまなざしを持つのだと思います。
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この日はワークの後、季節の和菓子と抹茶をいただきながらお茶会の時間を持った。
久々に茶筅をふる。ピクニックに持っていって、お外で点てたいと思ったから小さな野点用のものを新調してみた。
色とりどりの季節の和菓子。こういうのを見ると日本人で本当に良かったなぁとつくづく感じます。小さきものの中に無限の可能性を表現しようとすること、そして、小さきものの中に無限の可能性を見ようとする日本人の心眼って本当に素晴らしい!
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