AIフィル・コリンズが歌うCalling All Stationsを聴いて、「バンド」としてのジェネシスに思いをはせる
最近のAIには驚かされることばかりですが、出ました(笑) AIで再現したフィル・コリンズが、歌う Calling All Stations です!
で、聴いてみたんですが、違和感あるんですよね〜、やはり。声質はかなりよくできてる印象がありますが、歌い回しというか、そういう部分はまだかなり粗い印象があります。ただ、これを聴いて一番感じたのは、AIがもっと良くなったとしても、この曲はフィル・コリンズが歌う曲では無いんだよなあ、ということなのです。やはりCalling All Stationsの曲は、レイ・ウイルソンが歌ってナンボということなのでしょう。
もともと、この曲が書かれたとき、新ボーカリストはまだ決まっていなかったはずです。トニー・バンクスとマイク・ラザフォードは、新しいバンドの音を過去と意識的に変えたわけです。そして、そのサウンドにマッチするボーカリストを探したということではなかったのかと思うのです。そして、こういう選択ができるというのは、やはり2人になってしまっても彼らは依然として「バンド」であり、それを継続しようとしたのだと思うのです。
そもそも、ジェネシスは最も初期の頃から、一貫して「バンド」であり続けた希有なグループです。ピーター・ガブリエルを失った後、フィル・コリンズを新しいヴォーカリストにキャスティングしてバンドを維持し、その後、スティーブ・ハケットが脱退した後も、残りの3人だけでバンドを継続したわけです。最後はフィル・コリンズが抜けた後、さすがにヴォーカリストだけは補充することになりましたが、やはりバンドとして継続を目指したわけなのです。
そして、メンツが変わっても、アルバム Calling All Stations は、やはり「バンド」としてのジェネシス作品なのです。確かに、トニー・バンクスとマイク・ラザフォード二人だけのバンドという面は強いのですが、後から加わったレイ・ウイルソンが制作に関わった曲(Not About UsとThere Must Be Some Other Way)もちゃんと収録されていたりするわけで、彼らがこれまでと同じようにバンドを継続しようとしていたのは間違いないと思います。(まあ、レイ・ウイルソンは一貫してレコーディング中に疎外感を感じたようなコメントをしていましたが、若い彼の目から見ればまだそうだったのだと思いますけど)
こうして、AIフィル・コリンズの歌声を聞きながら、やっぱりジェネシスって、まさに「バンド・オブ・バンド」だったんだよな、と認識を新たにしたわけです。
そして、Calling All Stations こそ、「バンド」としてのジェネシスが、彼らのデビュー盤以来の、2度目の世間的失敗作(わたしは嫌いじゃないんですが)だったということなのでしょう。でも、一度フィル・コリンズを頭から消してみて、このアルバムの音をもう一度聞いてみませんか? これだけのサウンドを作り込めるバンドなんて、そうそういないことがよくわかると思うんですけどねえ…。
PS. タイトル画像は Robot Phil Collins singing in a band というプロンプトでAIにより生成された画像です(笑)
【過去の記事】